大谷山22号墳 ― 2026年11月02日 00:05
大谷山22号墳(おおたにやまにじゅうにごうふん)は和歌山県和歌山市岩橋・鳴神に所在する前方後円墳である。
概要
岩橋千塚古墳群のなかで、大日山35号墳とならんで最大級の前方後円墳の一つで、大谷山の山頂に立地する。古墳時代後期前半に築造された墳長約68~70mの前方後円墳で、後円部径は約35m、前方部幅は約53mである。 80mの盾形の基壇の上に2段築成の墳丘が築かれる。墳丘表面に葺石は存在しないが、各段築のテラスには円筒埴輪をめぐらせている。
埋葬施設
埋葬施設は後円部中央に設けられた横穴式石室で、全長約7.8m、高さ約3.15mを測る。石室には石棚と石梁が設けられている。
別区
墳丘南側のくびれ部には方形の別区が設けられている。別区からは、人物・動物・家・盾などの形象埴輪が出土した。人物埴輪には力士・巫女・黥面を表現したものがあり、動物埴輪には馬・鶏などが含まれる。また、双脚輪状文形埴輪や胡籙形埴輪なども確認されており、古墳における祭祀・儀礼や埴輪の配置を考えるうえで重要な資料となっている。
出土遺物
石室内からは須恵器の坏蓋4点、高坏2点、高坏蓋2点、台付壺2点などが出土した。また、攪乱土中から金銅製杏葉などの馬具が出土している。
埼玉との共通性
大谷山22 号墳・大日山35 号墳・井辺八幡山古墳に認められた須恵器と埴輪の配置位置の変遷は、埼玉古墳群の中規模前方後円墳の変遷と共通するとされる(和歌山県教育委員会(2025))。
埴輪
別区からは人物、動物、家、盾等の形象埴輪が出土した。 昭和41年(1966年)に行われた発掘調査では、翼を広げた鳥形埴輪も確認されている。
大谷山22号の主な意義と特徴
最大級の規模と立地
岩橋千塚古墳群を代表する大型前方後円墳の一つで、大谷山の山頂に立地する。墳丘の周囲には盾形の基壇が設けられ、基壇を含めた全長は約80mに達する。
「岩橋型横穴式石室」の成立期を示す構造
結晶片岩を用いて構築された横穴式石室で、奥壁から突出する石棚と、天井付近に架けられた石梁を備える。これらは岩橋千塚古墳群に特徴的な「岩橋型横穴式石室」の構造要素であり、本古墳の石室はその変遷を考えるうえでも重要である。
多彩な形象埴輪と祭祀空間(別区)の存在
墳丘南側のくびれ部にある「別区(方形の平坦面)」から馬形・鶏形などの動物埴輪、力士・巫女・黥面(げいめん)などの人物埴輪、さらに双脚輪状文形埴輪や胡籙形埴輪などの多彩な形象埴輪が発見されており、当時のまつりごと(祭祀儀礼)の様子を伝える。
調査
1966年(昭和41年)に横穴式石室の内部と墳丘の一部が発掘調査された。2014年度(平成26 年度)には、和歌山県教育委員会が墳丘規模及び段築構造確認のため、トレンチ調査を行った。 2015年度(平成27年度)には、和歌山県教育委員会が特別史跡への追加指定に向けて、天王塚古墳と大谷山22号墳の発掘調査を実施した。
首長墳の変遷
花山6号墳(花山地区)→大谷山22 号墳(大谷山地区)→大日山35 号墳(大日山地区)→井辺八幡山古墳(井辺前山地区)→天王塚古墳(和佐地区)→寺内57 号墳(寺内地区)→井辺1号墳(井辺地区)、とされている(和歌山県教育委員会(2025))。
遺構
- 前方後円墳
- 横穴式石室
遺物
- 動物埴輪 鳥形埴輪 馬形埴輪
- 双脚輪状文形埴輪
- 胡籙形埴輪
指定
- 国指定特別史跡「岩橋千塚古墳群」の構成資産
被葬者
- 古代豪族紀氏による築造とする説がある。
築造時期
- 古墳時代後期前半(6世紀前半)
展示
- 出土資料の一部については、和歌山市立博物館で展示される。
アクセス等
- 名称:大谷山22号墳
- 所在地:和歌山県和歌山市岩橋・鳴神
- 交通:
参考文献
- 和歌山県教育委員会(2025)『岩橋千塚古墳群総括報告書Ⅰ』和歌山県教育委員会
- 関西大学文学部考古学研究室 編(1967)『岩橋千塚』
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