檜皮葺 ― 2023年08月22日 18:34
檜皮葺(ひわだぶき)は桧の樹皮を屋根を葺く工法である。
概要
飛鳥時代に広まり、奈良時代で上級建築に用いられ、平安時代には最も格式の高い屋根工法となり、神社建築に使われた。
採取法
概ね30年から40年程度で檜皮葺の損傷が大きくなるので、その都度、「屋根葺替修理」を行う必要がある。材料は樹齢70~80年以上の桧の立木から採取する。立木から最初に剥がされた皮は荒皮と呼ばれ、檜皮として品質が悪く収量も少ない。一度皮を剥ぎ、8~10年くらいたつと、新しい表皮が形成され、2度目の剥皮ができる。この皮を黒皮と呼び品質も良く収量も多い。以後8~10年毎に採取ができる。樹皮を剥ぎ取る際に、甘皮、絹皮を残すことにより、樹木に影響させず次回以降の材料を入手できる。檜皮の採取は、原木が傷まないよう秋から冬場、木の中の水分の動きが少ない時期に行われる。木の根元部分からへらを差し込み、右手にへら左手に皮を持ち、下から上へ引き剥がしながら巾25㎝程度ごとに皮を剥ぎ取る。
メリット
屋根の優美な曲線、軒の重厚感を出すことができるため、神社仏閣に多く用いられる。 葺屋根に用いられる檜の皮は、立木のまま木を傷めずに採集できるので、数十年後にま た皮を採集することができる。
施工法
屋根の垂木の上に直交する方向で一定間隔で桟を打ち、その桟に釘や縄を用いて檜皮を止める。奈良時代は、檜皮葺の建物は掘立柱だったが、瓦葺の建物は礎石を用いる。これは瓦の重さによるものである。 茅や藁に比べると高価であるため、民家にはほとんど使われない。
事例
- 京都御所の紫宸殿
- 住吉神社本殿
- 室生寺五重塔
- 出雲大社本殿
- 吉備津神社本殿及び拝殿
- 金峯山寺本堂
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