先代旧事本紀 ― 2023年06月03日 12:06
先代旧事本紀(せんだいくじほんぎ)は平安初期に編纂されたと考えられる歴史書である。
概要
全10巻、神代から推古大王に至る歴史を記す。著者は不明であるが、「天孫本紀」に尾張氏および物部氏の系譜を詳細に記している。ほかに物部氏関係の事績が多くみられるので、本書の著者は物部氏の一族と推定されている。序文は後の時代の偽作とされる。 江戸時代に多田義俊『旧事紀偽撰考』、伊勢貞丈『旧事紀剥偽』などにより偽書として排斥され、明治以降にも継承された。 しかし『古事記』『日本書紀』等に見られない独自に書かれている部分として、特に「國造本紀」、「天孫本紀」がある。近年では古代史の史料として重要となっている。「國造本紀」では化改新以前の百四十四ヵ国の国造定賜時期、その初代を記す。「天孫本紀」には現存しない物部文献からの引用があるという意見もある。 『先代旧事本紀大成経』とは別書である。
構成
- 巻第1 神代本紀 陰陽本紀
- 巻第2 神祇本紀
- 巻第3 天神本紀
- 巻第4 地祇本紀
- 巻第5 天孫本紀
- 巻第6 皇孫本紀
- 巻第7 天皇本紀
- 巻第8 神皇本紀
- 巻第9 帝皇本紀
- 巻第10 國造本紀
- 語句索引
写本
天理大学本は完本として現存の最古本であり、古代史研究上に貴重である。 天理大学本は、ト部兼永が大永元年から同二年にかけて書写したものとされる。 写本は重要文化財となっている。
参考文献
- 坂本太郎, 井上光貞,家永三郎,大野晋 (1994)『日本書紀』岩波書店
- 工藤浩・松本直樹・松本弘毅校注・訳(2022)『先代旧事本紀注釈』花鳥社
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