造出 ― 2023年06月22日 22:07
造出(つくりだし)は5世紀代の前方後円墳のくびれ部に作られた方形または半円形の壇状の施設である。「造出し」、「造り出し」とも表記される。
概要
造出は前方部と後円部の接点付近の周上におかれる。左右または片側だけの場合がある。多数の須恵器や土師器が出土したので、祭壇と考えられている。 宝塚1号墳では周囲の斜面には古墳本体と同じように葺石が置かれている。東・西・北側の3面の葺石は、2段に分かれており、下段は古墳の葺石につながり、葺石間の平らな面には埴輪が列状に並べられている。「造り出し」の周囲では、当時置かれた位置を保った状態の埴輪が多数みつかり、埴輪を使った儀式のようすを知る手がかりを得られた。また、「造り出し」は古墳本体と通路のような土橋でつながっている。このような姿のものが発掘調査でみつかったのは宝塚1号墳が初めてであった。宝塚1号墳の「造り出し」で注目される点は、古墳が造られた当時に置かれた位置で埴輪がみつかったことである。
出土例
- 宝塚1号墳 - 5世紀初め頃、三重県松阪市
- 今里車塚古墳 -古墳時代中期初頭、京都府長岡京市
参考文献
- 大塚初重(1982)『古墳辞典』東京堂出版
- 江坂輝彌、芹沢長介()『考古学ハンドブック』ニューサイエンス社
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