舶載鏡 ― 2024年03月11日 00:14
舶載鏡(はくさいきょう)は外国からもたらされた鏡をいう。特に中国で製作された銅鏡をいう。
概要
狭義には前漢時代以降、六朝時代までの鏡をいう。 舶載の本来の意味は外国から船に載せて品物をもたらすという意味である。古墳から出土品としてあつかわれる。 舶載鏡の対義語として、仿製鏡がある。
舶載鏡の由来
従来は漢の様式の鏡で、中国の年号が記入されたものは舶載鏡と扱っていた。 最近、中国の学者から中国から日本に渡来した鏡師により作られたとの説が提唱された。 後藤守一が『漢式鏡』で、「支那舶載鏡」の用語を用い、それが定着した。
古代の鏡
日本ではこれまで6000枚を超える古代の鏡が見つかっている。それらは製作地から4通りに分類される。
- 朝鮮半島鏡
- 中国鏡
- 三角縁神獣鏡
- 倭製鏡
三角縁神獣鏡の製作地
日本列島の三角縁神獣鏡とまったく同じものが中国で三角縁神獣鏡が見つからないことが問題を複雑化させる。森浩一氏は中国でひとつも、三角縁神獣鏡が見つからないから倭製鏡であるとの説であった。また三角縁神獣鏡は倭に向けた特注品であるとの説もある。特注品という根拠は「鏡好きの倭」のために、朝賀に来たときのためのお土産という可能性があるだろう。中国では一つの墓から鏡が30枚も出ることはない。卑弥呼に100枚も鏡を与えたのは、倭が特別に鏡好きであることを知っていたからであろう。
中国鏡と古墳時代の倭鏡とはその微量成分が両者で異なることが知られている。黒塚古墳から出土した33面の三角縁神獣鏡を大型放射光施設「スプリング8」(兵庫県佐用町)で蛍光X線分析したところ、鏡に含まれる銀などの微量元素の割合が、古代中国鏡とほぼ一致した。したがって、中国で同じものが見つからなくとも舶載鏡であろうと判断できる。 反論に舶載鏡を溶かして改鋳したとするものがあるが、黒塚古墳の鋳上がりは状態が非常に良いので、改鋳されたものではないだろう。
参考文献
- 後藤守一(1926)『漢式鏡』雄山閣
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