透孔 ― 2024年04月10日 00:19
透孔(すかしあな、とうこう、英perfirated decoration)は土器や埴輪、土製品の側壁をくり抜いて、内側の中空部分まで達している孔である。「透し孔」「透し」とも呼ばれる。
概要
孔の形は、○、△、□、半円、巴など様々である。 縄文土器、弥生土器、須恵器などでは高坏の脚部や器台に三角形、四角形、円形などの透孔(透かし)が用いられる。 円筒埴輪や朝顔型埴輪の胴部にも透孔はよく用いられる。
孔を空ける目的
なぜ孔を空けたのか。完全には解明されていない。
- 焼成効率説 - 焼成時に埴輪や土器がよく焼けるように孔をあけた。
- 当初の意味の形骸化 - 特殊器台では意味のあった穴が、埴輪では形骸化して残っている。
- 装飾説 - 単なる土器や埴輪のデザイン-
- 粘土の節約説 - 材料の不足または経済合理性
- 運搬時の軽量化説 - 運搬時に運びやすくした
- 魔除け説 - 悪霊などが近寄らないようにした、盗掘者対策。
考察
透孔の目的は様々な仮説がある。かっては「運ぶ際に棒を通すため」説もあったが、現在では否定されている。孔に棒を通したなら、その痕跡が残っているはずであるし、孔に荷重がかかるので、埴輪の破損も起こり得る。 焼成効率説では規則性のみられる孔の配置を説明できない。単なるデザイン説ではなぜ円筒埴輪や朝顔型埴輪にあるかは説明できない。粘土の節約説では、節約方法には埴輪の厚みを減らすとか,サイズを小さくするなど他の方法も考えられる。運搬時の軽量化説はあり得るが、孔だけで軽量できたかどうか。軽量化だけが目的なら、より小さい円筒埴輪にするのではないか。 魔除け説は有力と考える。円筒埴輪や朝顔型埴輪は古墳に結界を結ぶ意味があったとすれば、その透孔の模様は結界を補強する意味があったと考えることができる。
出土
- 水注形土器 - 新沢一遺跡、奈良県橿原市一町、弥生時代中期、底部に木の葉形の透かし孔を交互に向きを変えて施した高台がつく
- 透孔 - 円筒埴輪、森将軍塚古墳、長野県、古墳時代、三角形の透孔
参考文献
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