鬼虎川遺跡 ― 2025年04月22日 23:39
鬼虎川遺跡(きとらがわいせき)は大阪市東大阪市にある弥生時代前期から後期の集落跡である。
概要
大阪市東大阪市の東部に位置する。 環濠は3重で、2重目は深さ1.5m、最大2m、幅3mである。環濠の底と斜面に杭が打たれる。杭の残存長20cmから50cm、太さ約10cmから15cm。外敵の侵入を防ぐ役割があったと推定される。 弥生時代の地層は地表下約3.5mにある。集落は弥生時代前期初頭から形成され始める。中期前半に環濠を巡らせる大集落が形成される。北東南西長約450m、北西南東長約220m。北東部の環濠の外に方形周溝部群があった。方形周溝部は約30基あり、有力者の墓と考えられる。弥生時代の墓制を考えるうえで重要な遺跡と考えられている。瓜生堂遺跡とならぶ拠点集落であった。
調査
1963年(昭和38年)に大阪外環状線の工事の際に発見され、昭和50年以後発掘調査が64次に渡り実施されてきた。 銅鐸鋳型が出土した。貴重なものである。その西側から銅鐸、銅釧、銅繳の鋳型が出土した。被熱して黒く変色した鋳型も見られる。これらから集落は青銅器の製作供給地であったとみられる。近畿地方で鋳型が出土した遺跡は、唐古・鍵遺跡、東奈良遺跡(大阪府)、楠荒田町遺跡(兵庫県)がある。
人骨
土坑墓から頭部を損傷した人骨が出土した。腹部の推骨付近から石鏃が出土し、頚部には刺突状のものが突き刺さっていたことから殺害されたとみられる。
遺構
弥生時代
- 方形周溝墓
- 木棺墓
- 土壙墓
- 大溝
- 環濠
- 柱穴群
- 溝
- 大溝
- ピット
- 井戸
- 足跡
- 井路
遺物
縄文時代
- 縄文土器
弥生時代
- 弥生土器 - 水差、高坏
- 石包丁
- 打製石剣
- 磨製石剣
- 石鏃
- 台式土偶
- 土製品
- 木製品
- 石製品
- 玉
- 石器
- 動物遺存体
- 銅鐸形土製品
- 骨角器
- 砥石
- 土偶
- 骨角器
- 紡錘車
- 自然遺物
アクセス等
- 名称:鬼虎川遺跡
- 所在地:〒579-8026 大阪府東大阪市弥生町17
- 大阪東大阪市西石切町/弥生町/宝町/水走/新町
- 交通:近畿日本鉄道けいはんな線 新石切駅 徒歩8分
参考文献
- 公益財団法人大阪府文化財センター(2012)『鬼虎川遺跡』大阪府文化財センター発掘調査報告書第223集
- 東大阪市教育委員会(2013)『鬼虎川遺跡第67次発掘調査報告』
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