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石棒2023年08月12日 20:05

石棒(いしぼう)は縄文時代中期以降に作られた棒状の磨製石器である。

概要

石製の長い棒で縄文時代から弥生時代の祭祀道具である。 縄文時代中期から後期にかけて盛行し、弥生時代前半期まで使用される石製品である。 男性器を模した形状から、子孫繁栄の儀礼等に用いられたと考えられている。分布の中心は東日本であり、西日本からの出土は少ない。縄文時代後期以降になると石棒は小形化し、文様は精巧になる。とくに晩期の石棒においては頭部を彫刻し、土器と共通する三叉文、三角状のえぐり込み、線刻などを施すものが目だつようになる。

形状

棒の一端、または両端に頭部をつくるものと、頭部のないもの、頭部に精巧な彫刻をほどこしたものなどがある。長さは40~50cmから1m内外のものである。小型のものは武器として用いられたと考えられるが、大型のものは儀礼的、宗教的な意味もあったとみられる。形態は、男性器を彷彿とさせるものがある。石棒の中には長さ1mを越える大きなものもあるが、時期がくだるに従い、次第に小型化・精緻化する傾向がみられる。

用途

あることから、石棒は火と関連する祭祀で用いられた祭祀具の可能性が高い。その形態と並んで、特定の場所における特殊な出土状況が伺えるからである。住居内の炉の側で出土することがあり、火による損壊変色も見られる。 土偶は女性像が多く、生産・豊穣に関わるような「女性」的な祭祀に用いられたと推定されている。これに対し男根を象る石棒による祭祀は、子孫繁栄の儀礼等に用いられたと推定され、再生を象徴する「男性」的なものであった可能性が高いと推定されている。日本の民俗では女性が石製・木製の男根に触れることで、子宝に恵まれると信じられているので、そのような理由も想定できる。

材質

る。安山岩、花崗岩、緑泥片岩等で作られる。大形のものは安山岩、小形のものは粘板岩、緑泥片岩などの石が用いられる。

出土例

  • 石棒 - 山梨県富士川町平林出土、縄文時代(中期)・前3000~前2000年、東京国立博物館
  • 石棒 - 平田村空釜B遺跡、福島県石川郡平田村、縄文時代早期後葉

参考文献

  1. 大塚初重(1982)『古墳辞典』東京堂出版

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