尖頭器 ― 2023年12月20日 23:50
尖頭器(せんとうき)は槍の柄の先につける旧石器時代を中心とする狩猟用の石器である。 別名は「槍先」「刺突具」とも言う。
概要
先端が尖っているので、「尖頭器」の名称がつけれれた。平らで左右対称の形である。 こぶし大の石の塊を打ち欠いて刃を作り出しながら、全体を細長い木の葉っぱのような形に整えて作る。小さく薄く作った細石刃を、木や骨に埋め込んだものは「細石器」という。
利用した時代
旧石器時代と縄文時代草創期で使用されたものであり、それ以降の時代に類似した形状は石槍や石剣として区別する。旧石器時代には「ポイント」とも呼び、柳葉形(りゅうようけい)・木ノ葉形(このはがた)・三稜(さんりょう)などの種類がある。縄文・弥生時代には石槍と呼んでいる。
作り方
製作法と形態から2種類に区別できる。 第一は剥片または石刃の背と腹の両面を押圧剥離により調整し、石核から剥離したときにできた一次剥離面がほぼなくなったものである。木の葉状のものが多い。 第二は石刃を素材とし、両側縁に急角度の刃潰しを加えて尖頭部を作る。日本でナイフ型石器と呼ぶものの多くは、このタイプである。 尖頭器はこぶし大の石の塊からうちかいて作られ、完成した尖頭は、原石の十分の一以下となる。 後期旧石器時代の尖頭器は、真ん中を横に切ったときの断面が三角形になるものは「三稜」(三つの角がある)尖頭器と呼ばれる。
ナイフ型石器と区別
日本の旧石器時代には剥片または石刃の背原の両面を調整したものを尖頭器と呼ぶ。石刃の鋭い側縁を刃として残したものをナイフ型石器という。
形式
細長型と幅広型の2種類がある。先土器時代に登場し、縄文時代、弥生時代まで用いられる。先土器時代のものを尖頭器または槍先形尖頭器、縄文時代以降のものを石槍とよぶ。 形状は柳葉形、半月形、有茎形などがある。
素材
サヌカイトや黒曜石が使われる。原産地で途中まで作り、狩りをする場所で細かな調整をして、槍の先端につけて仕上げたといわれている。
出土例
- 尖頭器 - 北海道遠軽町留岡 下社名渕遺跡出土
- 尖頭器 - 下社名渕遺跡出土、北海道遠軽町留岡、旧石器時代(後期)・前18000年
- 尖頭器 - 小石川遺跡、岩手県盛岡市、旧石器時代/1万3000年前
- 尖頭器 - 鹿児島県薩摩川内市、旧石器時代
- 黒曜石製尖頭器 - 姉崎台遺跡、千葉県市原市、縄文時代草創期
- 木の葉形尖頭器 - 飛鳥池遺跡
参考文献
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