出挙 ― 2023年09月10日 22:47
出挙(すいこ)は古代、稲や財物を農民に貸しつけて利息を取ること。
概要
春夏に稲を貸し付け、秋にそれを五割(のち三割となる)の利子とともに回収するものである。 元来は勧農と貧民救済のためのものとされたが、奈良時代以降は一種の税として諸国の有力な財源となった。
養老令
公私以財物条
公私が財物を出挙したならば、任意の私的自由契約に依ること。官司は管理しない。60日ごとに利子を取ること。8分の1を超過してはならない。480日を過ぎた時点で1倍(100%)を超過してはならない。家資が尽きたならば、役身折酬(債務不履行を労働によって弁済)すること。利を廻して本と(すなわち複利計算)してはならない。もし法に違反して利子を請求し、契約外の掣奪(=私的差し押さえ)をした場合、及び、無利子の負債(=債務不履行の際、役身折酬による弁済ができない)の場合は、官司が管理すること。質は、持ち主に対して売るのでなければ安易に売ってはならない。もし(特定期間内、令義解によれば480日+60日を過ぎて後に)、利子を合計しても本(質物の価格)に達しないときには、所司に報告して、持ち主に対し売ることのを許可すること。余りが出たならば返還すること。もし債務者が逃亡した場合、保人(=身柄保証人)が代償すること。
以稲粟条
稲粟を出挙したならば、任意の私的自由契約に依ること。官司は管理しない。そうして1年を1期間として判断すること。1倍(=100%)を超過してはならない。官司(の出挙)は半倍(=50%)すること。いずれも旧本(本〔もと〕の値)に従い、さらに利子を発生させたり、複利計算してはならない。もし家資(=家の資産)が尽きたならば、また上の条に準じること。
出挙条
出挙は、当事者間の合意に基づいて、私的に自由契約させること。利子の取り方が条の規定を超過したならば、任意に個人が糺して報告すること。利物はいずれも糺した人に報賞すること。
参考文献
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