王賜銘鉄剣 ― 2023年12月18日 22:13

王賜銘鉄剣(おうしめいてっけん)は千葉県市原市の養老川下流域のにある稲荷台1号墳の木棺から検出された銀象嵌の鉄剣である。
概要
剣の材質は鉄であり、長さは73.5cm 幅は3.5cmの鉄剣である。「王賜」に始まる銀象嵌7文字の銘をもつ鉄剣である。 上総国分寺台遺跡調査団が1976年から1977年にかけて調査を実施した稲荷台古墳群のうち、稲荷台1号墳から出土した。当初、銘文は知られていなかったが、国立歴史民俗博物館でのX線透過分析により銘文が発見された。稲荷台1号墳には中央木棺と北木棺の2基の木棺が納置されていたが、、鉄剣は中央木棺から検出された。
「王賜」銘鉄剣は直径27メートルの稲荷台1号墳(円墳)の埋葬施設から、短甲・剣・鉄鏃・刀子・大刀・胡ロク・きさげ状工具・砥石などと共に発見されている。 鉄剣は長さ約73センチメートルほどに復元できる。刃の持ち手寄りの部分に、X線写真によって銀象眼の銘文が発見された。紀年の記載はないが、王から鉄剣を授けられたという意味が書かれる。紀年や王名の記載が残っていれば、ただちに国宝ものであった。国産の有銘刀剣としては最古のものである。一緒に出土した須恵器の年代から5世紀中頃の築造と考えられ、畿内の大王に武人として仕え、その功績により鉄剣を授かったと考えられる。
西暦471年を指す文字がある国宝「金錯銘鉄剣」(埼玉県立さきたま史跡の博物館)より古いとみられ、「考古学的に超一級品」とされる。
「稲荷台1号墳」(市原市山田橋)の出土品と関連資料の返還を求めた市と、元発掘調査員との裁判が和解し、王賜銘鉄剣を文化財として申請する見通しができたとみられる。いずれ国の重要文化財入りが確実視されている。
銘文
読み取れるのは、一部の文字だけである。王への奉仕に対して剣を下賜するという内容である。敬意を表すべき語の直前で改行し、その語をほかの行の先頭より1文字から数文字高いところから書き始める擡頭で書かれる。
- (表)王賜 敬[安])
- (裏)此廷[刀] 王 (剣)を賜フ。敬ンデ[安]ゼヨ。此ノ廷[刀]ハ ・・・・ (吉祥句)
参考文献
- 市原市教育委員会編(1988)『王賜」銘鉄剣概報―千葉県市原市稲荷台1号墳出土 』吉川弘文館
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