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蛇行状鉄器2023年12月08日 20:36

蛇行状鉄器(だこうじょうてっき)は蛇のように湾曲した鉄棒の先に筒がついている馬具の部品である。

概要

蛇行状鉄器は国内で8遺跡 11 例の出土事例がある。将軍山古墳以外は西日本に分布する。韓国では5世紀末から6世紀末にかけて、9遺跡 13 例のほかに4例の伝世品が知られている(金井塚(2004))。慶尚南道の伽耶地域に多く分布する。 行田市酒巻14号墳出土の馬形埴輪の一つに旗指物を付ける金具が表現されており、その形状が蛇行状鉄器と類似する。蛇行状鉄器の使い方が示されている唯一の例である。蛇行状鉄器は馬冑と組み合わせて使われたものと考えられる。 飛鳥寺の塔心礎から蛇行状鉄器が出土している。 石橋茂登・木村結香(2018)によれば、蛇行状鉄器のU字部で鞍の後輪に取り付け、袋部に布や羽根などを挿入し、馬の尻部を飾るものである。蛇行部のU字部との連結部分は谷部分より薄く幅広く作られている。馬の歩行に伴い、飾りが揺れる仕組みになっている。 蛇行剣とは、用途が異なる。

出土例

  • 蛇行状鉄器 - 将軍山古墳墳出土、埼玉県行田市、古墳時代
  • 蛇行状鉄器 - 飯綱社古墳、長野県長野市篠ノ井、古墳時代
  • 蛇行状鉄器 - 団栗山古墳、奈良県磯城郡田原本町、古墳時代後期
  • 蛇行状鉄器 - 船原古墳、古賀市谷山、6世紀末~7世紀初頭

参考文献

  1. 石橋茂登・木村結香(2018)「飛鳥寺塔心礎出土蛇行状鉄器の復元的研究」奈良文化財研究所紀要2018、pp.52-53
  2. 東潮(1990)「馬具の系譜―歩揺付雲珠形飾り金具と馬装」『斑鳩藤ノ木古墳 第一次調査報告書』奈良県立橿原考古学研究所、pp.397-425
  3. 金井塚良一(2004)「蛇行状鉄器再考」『考古学研究』51-1、考古学研究会、pp.55-75