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鴟尾2024年03月19日 23:39

鴟尾/難波宮跡/大阪市歴史博物館

鴟尾(しび)は瓦葺屋根の大棟の両端に取り付けられた大型の瓦である。 「履形」ともいわれる。

概要

鴟尾は中国では海中の魚を意味し、波を噴出して、雨を降下させると考えられていた。 屋根に載せることにより防火の呪術的な効果を目的とした。 天に向かって尾をはね上げる形状で、段や刻線により鰭を表現する。 石製のものは、群馬県高崎市山王廃寺跡や千葉県印旛郡栄町龍角寺などから発見されている。『和名類聚抄』では「久都賀太(くつがた)」と読む。古代の鴟尾で完全な形のものは奈良県の唐招提寺である。

発掘

奈良県唐招提寺などにも見られ、難波宮跡や四天王などから発掘される。 1953年(昭和28年)11月、法円坂住宅第13号棟建設工事中の地下約1.2mから鴟尾が出土した。難波宮の手がかりを探していた山根徳太郎にとり、鴟尾の発見は付近に難波宮が存在することを強く確信させるきっかけとなった。飛鳥時代の鴟尾は各地の寺院跡で破片が多数出土するが、全体を復元できる資料はきわめて少ない。滋賀県山ノ神四号窯跡の出土した鴟尾は四個すべてで全体が判明した良好な出土例であった。焼成途中に窯の天井が崩壊したためそのまま埋まってしまい、取り出されること無く放置されたものである。高さ1m37㎝、長さ1m、鰭部幅60㎝。

名前の由来

風神としての鳳凰が由来とされる。

材料

瓦製が大半である。まれに石製や木製がある。

出土例

  • 難波宮跡出土鴟尾 - 難波宮、大阪市中央区、飛鳥時代
  • 鴟尾 - 滋賀県山ノ神四号窯跡、滋賀県大津市御陵町、飛鳥時代、大津市歴史博物館

参考文献

  1. 奈良県国立文化財研究所飛鳥資料館(1980)『日本古代の鴟尾』
  2. 原田淑人(1923)「鴟尾について」『東洋学報』14-1