雀居遺跡 ― 2024年12月25日 23:14
雀居遺跡(ささいいせき, Sasai Ruins)は福岡県福岡市博多区にある弥生時代から古墳時代にかけての遺跡である。
概要
雀居遺跡は太宰府市の宝満山を源流として博多湾にそそぐ二級河川である御笠川の右岸の低平地にあり、標高6m前後の沖積地に位置する。福岡空港国際線ターミナルのすぐ傍である。御笠川をはさんで、弥生銀座と言われる那珂遺跡群、比恵遺跡群がある。
発掘調査の歴史
1992年(平成3年)から1994年(平成6年)にかけて、福岡空港国際線ターミナルの移転に伴い、発掘調査が行われた。雀居遺跡では水田や集落の跡が見つかっている。 雀居遺跡の第4次調査では完全な形の机の脚の資料が出土した。用途は明確でないが、同じ構造、デザインの製品が福岡、大分、長崎、佐賀など北部九州一円に広がっており、共通の祭式に用いられたと推察される。雀居と下月隈において、脚だけで30点近く出土している。サンダル状の履物は雀居遺跡、那珂君休遺跡などで見つかっている。
雀居遺跡第15次・16次・17次調査
第15次調査では、4面の遺構面を確認した。稲作跡(水田跡) の検証や探査を行う場合、一般にイネの植物珪酸体(プラント・オパール) が試料1gあたり5,000個以上と高い密度で検出されたとき稲作が行われていた可能性が高いと判断する。8層(試料N3)、9層(試料N4)、11層(第3水田面?:試料N6)、12層(試料N7) で密度が7,800~9,900個/gと高い値であり、6層(試料N1)、7層(試料N2)、13層(試料N8) で3,300~4,900個/gと比較的高い値である。これらの層では稲作が行われていた可能性が高いと判断された。加速器質量分析法(AMS法) による放射性炭素年代測定では、第3水田面出土の木質サンプル(1)は、1825±25年BP (2σの暦年代でAD126-248年)、第3水田面出土の木片(自然流路) は、1755±20年BP (2σの暦年代でAD230-346年)であった。弥生時代末期から古墳時代の田とみられる。
遺構
弥生時代から古墳時代にかけて環濠集落や大型の掘立柱建物が検出された。低湿地の建物の基礎構造やブタなどを飼育する柵と考えられる遺構も検出された。集落、貯蔵穴、墳墓、水田遺構などが検出された。 雀居遺跡の木製品で最も新しい年代は西暦100年以降である。これにスギを加工する場合の平均辺材幅、33層分を加えると原材は西暦133年頃に伐採されたことになる。 九州地方で弥生時代の木製品の年輪年代が判明したのは雀居遺跡が最初であった。
弥生時代
- 掘立柱建物10
- 家畜小屋4
- 甕棺墓4
- 土壙墓1
- 土坑25
- 円形溝4
古墳時代
- 土器溜1
- 土坑10
- 井戸4
- 河川1
奈良時代から平安時代
- 水田
出土品
弥生早期~中期
- 青銅製ヤリガンナ
- 弥生土器(壺+甕+高杯+鉢+器台)
- 磨製石鏃
- 磨製石斧
- 石包丁
- 石鏃
- 砥石
- 磨製石剣
- 石鎌
- 滑石製勾玉
- ガラス小玉-植物遺存体(コメ(炭化米)+炭化種子)
- 木製柱根
- 木製礎板
- 動物遺存体(動物(骨)+シカ(角)
- 木製柱根
- 製礎板
- 動物遺存体(動物(骨)
- シカ(角)
弥生後期~古墳時代
- 弥生土器
- 土師器
- 石器(磨製石斧+砥石)
- 木製品(鍬+柱根)
- 馬鐸
指定
アクセス等
- 名称:雀居遺跡
- 遺跡面積:
- 所在地:福岡県福岡市博多区雀居地内
- 交通:
参考文献
- 坂 靖(2020)『大和王権の古代学』新泉社
- 埋蔵文化財研究会(2003)「考古学と暦年代」ミネルヴァ書房
- 福岡市教育委員会(2020)「雀居13」福岡空港滑走路増設事業に伴う埋蔵文化財調査報告(2)
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