古事記 ― 2023年06月03日 16:19
古事記(こじき)は、現存する中では日本最古の歴史書といわれている(現在しないものを含めると『帝紀』『旧辞』『国記』『天皇記』は古事記より成立が古いといわれる)。 全3巻。日本の建国の由来、歴史上の出来事や物語が語られる。続日本紀には全く古事記の完成に触れていない。正史の日本書記に対して、私的な歴史書と位置付けられる。
概要
712年(和銅5年)、天武天皇の命により稗田阿礼が誦習した「帝紀」「旧辞」を元明天皇の命により712年(和銅5年)に太安麻呂が撰録し、献上したと序文に記載される。
構成
上巻は神代の物語、中巻は第一代神武天皇から応神天皇まで、下巻は仁徳天皇から推古天皇までを記載する。上巻の初めに序(上表文)がつく。記述法は、本文の散文は和文的漢文体、韻文は和文体とする。編年体、紀伝体のいずれの形式ではなく、神代以外は天皇の代ごとに事跡をまとめる。
刊行本
- 黒板勝美(1998)『国史大系 古事記・先代旧事本紀・神道五部書』吉川弘文館
- 久松潜一(1994)『古事記大成』平凡社
- 中村 啓信(2009)『新版 古事記 現代語訳付き』角川文庫
- 倉野 憲司(1963)『古事記』岩波文庫、ISBN-10:4003000110
- 倉野 憲司 , 武田 祐吉(1993)『古事記 祝詞』岩波書店
- 青木和夫,石母田正(1982)『日本思想大系 1 古事記』岩波書店
写本
『古事記』の原本は現存しない。伊勢系諸本と卜部系諸本の2種類がある。
- 真福寺本系
- 国宝、愛知県宝生院(大須観音)蔵
- 最も古く確かな写本として、古事記研究の底本となる。
- 道果本(重要文化財、奈良県天理図書館蔵)
- 上巻の前半部分しか現存しない。
- 道祥本(伊勢本ともいう。東京都静嘉堂文庫蔵)
- 春瑜本(重要文化財。伊勢神宮蔵。伊勢一本、御巫本とも云う。)
- 兼永筆本(京都府・鈴鹿勝蔵、兼永本、鈴鹿登本ともいう。)
- 近衛本(陽明文庫本、京都府陽明文庫蔵)系
- 梵舜本(ぼんしゅんぼん:東京都國學院大學蔵)系
- 山田本(やまだぼん:東京都静嘉堂文庫蔵)系
- 猪熊本(香川県猪熊家蔵)系
- 三浦本(戸川本、兵庫県戸川家蔵)系
- 九條本(奈良県天理図書館蔵)系
- 隠顕蔵本(奈良県天理図書館蔵)系
- 祐範本(ゆうはんぼん:前田本、東京都前田育徳会尊経閣文庫蔵)系
- 国立国会図書館蔵(1644年(寛永21年)、前川茂右衛門)
真福寺本
「真福寺本古事記」に記載されている崩年干支は紀年論に重要な役割を果たしている。
参考文献
倉野 憲司<校注>(1963)『古事記』岩波書店
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