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黒曜石2024年03月04日 22:33

黒曜石(こくようせき,Obsidian)はマグマの一部が急速に冷え固まってできた火山岩である。「烏石」や「漆石」とも言われる。

概要

マグマにより生み出された黒く輝く天然ガラスである。「博物誌」に、エチオピアでオブシウス (Obsius)が黒曜石を発見したという記述があり、英語名のオブシディアン(Obsidian)は発見者であるオブシウスの名前から名付けられたとされる。 黒曜石は火山活動によって溶かされた岩石のマグマが、急激に冷やされることにより生成される。

用途

加工が容易で切れ味が鋭い黒曜石は、狩猟用の槍や包丁のような調理器具、また工具として使用された。縄文時代の必須アイテムであった。黒曜石は旧石器時代から縄文時代にかけて弥生時代に鉄が伝わるまでさまざまな道具の主な材料となった。旧石器時代にはナイフ形石器や槍の先端に、縄文時代には矢じりとして使われた。動物の皮をなめすなど、加工用のツールとしても用いられた。

産地

黒曜石は、その成分を調査すると産地を特定することができるため、出土した場所を辿ることで、縄文時代を考古学的に理解できる。日本には東日本から北海道まで100以上もの黒曜石の産地があると言われるが、実用に使える品質の黒曜石の採れる場所は限られており、その地域産の黒曜石が流通している。主要な産地は北海道の置戸や白滝、長野県の霧ヶ峰、佐賀県の腰岳などであった。現在の関東近郊に住んでいた人々は、黒曜石を求め長野県の産地まで出かけていた。生活の道具の大半が石器であった時代には、重要な石であった。

世田谷の黒曜石の産地

黒曜石に含まれる微量元素のケイ素、チタン、アルミニウム、鉄、マンガン、ルビジウム、ジルコニウムを測定すると産地を同定できる。世田谷区内では(1)長野県の中部高産、(2)伊豆箱根産、(3)伊豆神津島が確認されている。栃木県高原山産は確認されていない。 遺跡の時期により山地が異なる。神津島へは海を渡らないと入手できないため、縄文時代に渡海技術があった事を示す証拠である。

参考文献

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