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粘土槨2024年01月07日 01:04

粘土槨(ねんどかく)は古墳の棺床に粘土や木炭を敷き、割竹形木棺や組合せ式木棺を置き、その上下四周に粘土でつつみこんだものである。

概要

木棺は朽ちて無くなり、粘土部分だけが残ることが多い。 被葬者を安らかに葬るため、木棺の周囲を粘土で固めた埋葬施設とされる。 古墳時代前期前半における典型的な竪穴式石室では墓壙内の粘土床上に置いた割竹型木棺を板石積みの四壁で保護しており、粘土槨は板石積みに代わりに粘土を入れたものである。壙底に礫を敷くこと、排水施設があることなど他の点は竪穴式石室と同じである。 4世紀初めあるいは古墳時代前期中頃から中期にかけて多く見られる。畿内で始まったとされ、竪穴式石室の被葬者に次ぐ地位にある有力者が埋葬されたと考えられている。長尾山古墳の粘土槨は国内最古級とされている。 同一古墳で、竪穴式石室と粘土槨が共存する例があるが、これは竪穴式石室が中心的な埋葬用であり、粘土槨を陪葬的な埋葬とされている。 中期末から後期初頭にかけて稲荷山古墳に見られるように、上部の粘土を省略した物が見られる。しかし粘土槨に含めて考えられている。

出土例

  • 粘土槨 - 長尾山古墳、兵庫県宝塚市、古墳時代前期(4世紀初め)
  • 粘土槨 - 真名井古墳、大阪府富田林市、4世紀末の築造
  • 粘土槨 - 鴨都波1号墳、奈良県御所市、古墳時代前期中葉(4世紀中葉)

参考文献

  1. 田中琢・佐原信(2011)『日本考古学事典』三省堂