Bing
PVアクセスランキング にほんブログ村

前二子古墳2025年01月02日 00:37

前二子古墳(まえふたごこふん)は群馬県前橋市にある6世紀の前方後円墳である。 日本百名墳に選出される。

概要

前二子古墳は大室古墳群のひとつである。大室古墳群は国道50号線東大室十字路から北へ2km、県道前橋・今井線と県道伊勢崎・深津線の交差点から北東1kmに位置する。標高は、122~137mである。5世紀後半から6世紀代に入って、この地域に強大な支配者が存在したと思われ、今井神社古墳、伊勢山古墳、前二子古墳、中二子古墳、後二子古墳、荒砥村120号墳、小二子古墳の前方後円墳が築造された。前二子古墳は地域の中で、初期的な構造の横穴式石室を持つことが最大の特徴とされる。 副葬品の多くは朝鮮半島とのつながりが想定されている。鉤状金具(百済・武寧王陵)、装飾器台(須恵器小像付筒形器台)は朝鮮半島の南部のものと共通した小像(亀、鳥、蛇、蛙など)で、新羅からも出土する。石見型埴輪(光州月桂洞古墳群)は百済系であるが、奈良県からも出土する。

調査

1878年(明治11年)に石室が調査され、3月24日前二子古墳の石室を開口し、3月25日~4月1日綿密な発掘調査が行われる。石室から土器、装身具、鏡、金メッキされた馬の飾り金具などの副葬品が出土した。明治13年に英国外交官アーネスト・サトウが調査に訪れた前橋市教育委員会(2021)。 横穴式両袖型石室で羨門・羨道・扉石・玄門・梱石・楯石・玄室・床面(敷石)・天井で 構成され、内面には全面的に赤色顔料を塗彩する。全長は西壁で最大13.89m、高さは 玄室で1.8mを超える。石材は粗粒安山岩と凝灰岩の2種類を使う。床面の敷石はすべて凝灰岩製であった。形象埴輪として、蓋・盾・靱・人物・馬・家・大刀・盾持人・鉾?の9種類があった。ラス製青色丸玉130・ガラス製緑色小玉17・ガラス製黄色小玉28・水晶製丸玉14・碧玉製管玉2・滑石製管玉1・滑石製臼玉1・銀製空玉3・金製耳環1が今回出土した装身具総数であった。

現状の力学的安定性

現状での静的力学条件下では直ちに崩壊する可能性は低いと判断されている。しかしながら、潜在的に不安定な状況に至っている部分があることから、地震や人為等による外力が加わった場合、石材の脱落に伴って一部が崩壊する可能性が指摘されている(前橋市教育委員会(2005))。 墳丘にはアカマツを主体とする高木が密生し、墳丘形状が展望できない状況である。さらに、樹木の倒壊に伴う墳丘の破損や、石室への根茎の侵入など、保存上の悪影響が指摘されている(同前)。

規模

  • 形状 前方後円墳
  • 築成 前方部:2段、後円部:2段
  • 墳長 93m
  • 後円部径 径72m 高13m
  • 前方部 幅62m 長33m 高12m
  • 室・槨 横穴式石室 13.8メートル

遺物

  • 円筒埴輪 円筒Ⅴ式
  • 葺石 あり 上段墳丘下半分
  • 鏡1
  • 耳環1
  • 青色小玉300
  • 鉄鉾2
  • 鉄鏃多数あり
  • f字形鏡板2
  • 剣菱形杏葉4
  • 輪鐙1
  • 鉸具
  • 留金具
  • 素環状鏡板付轡1
  • 土師器 高杯4
  • 台付壺1
  • 杯2
  • 須恵器 装飾器台1
  • 高杯形器台2
  • 提瓶2
  • 直口壺1
  • 高杯3
  • はそう(TK47~MT15)

築造時期

  • 6世紀前半~後半

被葬者

  • 東国の大豪族

展示

  • 大室はにわ館

指定

  • 1927年(昭和2年)4月8日 国史跡指定

アクセス等

  • 名称:前二子古墳
  • 所在地:〒379-2104 群馬県前橋市西大室町2545番地
  • 石室見学時間 9:00~16:00
  • 交通:前橋駅 バス 50分

参考文献

  1. 前橋市教育委員会(1993)「前二子古墳」前橋市教育委員会
  2. 前原豊(2009)『東国大豪族の威勢・大室古墳群』新泉社
  3. 前橋市教育委員会(2021)「前橋市大室古墳群-前二子古墳・中二子古墳・後二子古墳・小二子古墳-」
  4. 前橋市教育委員会(2005)「史跡前二子古墳・中二子古墳・後二子古墳ならびに小古墳 保存整備事業報告書」前橋市教育委員会

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://ancient-history.asablo.jp/blog/2025/01/02/9744066/tb