香坂山遺跡 ― 2025年01月10日 00:37
香坂山遺跡(こうさかやまいせき)は、長野県佐久市にある日本最古(旧石器時代)の遺跡である。
概要
日本道路公団による上信越自動車道の第2トンネルの立坑の地上部施設の建設事業に伴い、(財)長野県埋蔵文化財センターにより平成8年に試掘調査が実施されて旧石器時代の遺跡と確認された。日本列島最古の大型石刃製作跡の検出により多量に出土した大型石刃と石刃核から、列島最古の未知の石刃製作技術が明らかになった。
調査
1997年(平成9年)の本発掘調査では、AT下層のPm-4のパミスを包含する層準とその下層から石器が出土した。石器390点、礫28点という小規模な石器群である。放射性炭素年代値によれば約3万7千年前となる大型石刃製作跡であった。隣接して大型石刃と定義的な斜軸尖頭器である尖頭形剥片がまとめて保管されたとみられる製品キャッシュを検出した。北八ヶ岳の蓼科冷山産黒曜石の石核と分割礫、剥片からなる黒曜石キャッシュも検出した。国武貞克・奈良文化財研究所主任研究員をリーダーとする研究グループが2020年8月初めから再調査し、精度の高い年代測定を得るために再発掘した。出土した石器は約400点であったが、その中で注目されるのが、長さ10センチを超える大型の石刃と、長さ3~4センチほどの小型石刃と尖頭器である。「大型石刃・小型石刃・大型の尖頭器」3点セットは、出アフリカのあとの新人がユーラシア大陸に入り、西から東へ拡散していく時に持っていた石器の組み合わせである。 較正年代の中央値はE区(n=4)で36,846calBPであり、KS区(n=2)で36.410calBPで現状で最古の石刃石器群である。
遺構
- 大型石刃製作跡
- 製品キャッシュ
- 黒曜石キャッシュ
- 礫群
- 炭化物集中
遺物
- 大型石刃
- 小型石刃
- 尖頭形剥片(斜軸尖頭器)
- 石刃核
- 刃部磨製石斧
時期
- 旧石器時代
展示
- 長野県立歴史館(長野県千曲市)
アクセス
- 名称:香坂山遺跡
- 所在地:長野県佐久市香坂
- 交 通:
参考文献
- 長野県埋蔵文化財センター(2001)『長野県埋蔵文化財センター発掘調査報告書56 上信越自動車道埋蔵文化財発掘調査報告書29』
- 国武貞克(2021)「日本列島最古の石刃石器群の発見」『古代文化』Vol83,No3
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