井出丸山遺跡 ― 2025年01月11日 00:35
井出丸山遺跡(いでまるやまいせき)は、静岡県沼津市にある旧石器時代の遺跡である。
概要
愛鷹山で最も古い遺跡は、3万8000年前の井出丸山遺跡である。人々は黒曜石製石器などを用いて生活していた。初期は局部磨製石斧や台形様石器を使用する時期があり、時代が新 しくなるにつれ、ナイフ形石器、尖頭器、細石器の順序で石器が出土しているため、人々は、生活に合わせて道具を変化させていった。ナイフ形石器などの剥片石器きの主要石材となる黒曜石は、伊豆・箱根周辺産のものを用いているが、信州系黒曜石を多用する時期もあり、遠方から素材を入手して石器を製作していた。愛鷹山麓とその東側の箱根山麓では、31,000 年前頃に、山麓の尾根上に穴を列状に掘る陥し穴が作られた。陥し穴は、径が1.3 m前後で深さは1.4 m前後であり、これまでに愛鷹山周辺から143 基程度が確認されている。
発掘調査
2002年(平成17年)から2003年(平成18 年)にかけての静岡県・愛鷹山麓の発掘調査で、約3 万7000年前の地層から石器が出土した。古富士山の火山灰を3mほど掘り下げると、約37000年前の地層から黒曜石を打ち欠いて製作した石器が出土した。 出土した黒曜石は37 点である。その他の石材は在地石材である富士川ホルンフェルスが大半を占める。黒曜石は25 点について原産地が判明し、神津島産が22 点、信州系が3点であった。器種は台形様石器、ドリル、石核、剥片、横長剥片、砕片で、剥片のなかには自然面が残っているものもある。 井出丸山遺跡から100km 以上も離れた神津島で採取された黒曜石がある。神津島と伊豆半島は当時でも地続きではなかった。約3 万7 千年前に、旧石器時代人が海を渡るための航海技術を持っていたことを示す証拠である。
遺構
- 陥し穴
- 石器集中9 + 2
- 礫群1
遺物
- 局部磨製石斧
- 台形様石器
- ナイフ形石器
- 尖頭器
- 細石器
- 削器
- 石錐
- 細部調整のある剥片
- 石核
- 剥片
- 砕片
- 礫
- 炭化物
- 抉入石器
- 楔形石器
- 細石刃核
時期
- 旧石器時代
展示
アクセス
- 名称:井出丸山遺跡
- 所在地:静岡県沼津市井出
- 交 通:
参考文献
- 沼津市文化財センター通信、Vol.2、2020年3月、沼津市文化財センター
- 相川壌(2020)「後期旧石器時代前半期における神津島産黒曜石の利用とその広がり」東京大学考古学研究室研究紀要 33.pp.1-22
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