有舌尖頭器 ― 2025年03月26日 00:25

有舌尖頭器(ゆうぜつせんとうき)は裏表の表面を平坦にして、鋭い先端部と茎状の基部をもつ石器である。 「有茎尖頭器」ともいう。
概要
根元の細く厚い部分は茎部として、柄に取りつけやすくしている。差し込み用の逆三角形の出っ張り形状が多い。投てき用の道具は、人類が自然環境の変化に適応するために重要であった。縄文時代草創期の隆起線文土器から爪形文土器までの限られた時期に現れる石器である。舌があることにより、両側に反しができる。反しは、釣り針の先のように、動物に突き刺さった後で容易に抜けないようにする引っ掛ける役割をする。
用途
大型のものは槍先として用い、手で投げる槍の先端に付けた石器で、ナウマンゾウやオオツノジカなどの大型獣の狩猟に使われた。木製の棒に取り付けて槍とし、手で投げたり突いたりして、大型動物の狩りを行った。小型のものは矢として用い、鹿、イノシシなどの狩猟に使われた。北海道から九州まで広く分布するが、九州の出土例は少ない。使用石材は北海道では黒曜石、東北から北陸にかけては硬質頁岩、関東では多様な石材が使われる。中部と西日本ではチャートやサヌカイトが使われる。中部では岐阜県南部から愛知県中央部にかけて多くの有舌尖頭器が出土しいる。
登場時期
通説は舌尖頭器の登場は縄文時代草創期とされている。旧石器時代終末期から縄文時代への移行期に現れたとの見解もある。
出土例
- 有舌尖頭器 加曽利貝塚、千葉県千葉市、縄文時代(草創期)
- 有舌尖頭器 野畑春日町遺跡、大阪府豊中市春日町、旧石器時代から縄文時代の移行期
- 有舌尖頭器 平林遺跡、山梨県南巨摩郡身延町和田地内、縄文時代
参考文献
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