陶邑遺跡群 ― 2025年12月14日 12:30
陶邑遺跡群 (すえむらいせきぐん)は大阪府堺市・和泉市・大阪狭山市にまたがる日本で最大規模の須恵器生産遺跡である。
概要
古墳時代から平安時代までの約500年間に渡り須恵器を生産し続けた1000基以上の窯の遺跡である。東西15キロメートル、南北9キロメートルに渡り、泉北丘陵で大規模に生産された。半島からの渡来人が須恵器の生産方法を伝えた。全体の詳細な分布調査はされていないが、未発掘分を含めると3000基以上の窯遺跡があるとみられる。
一括して指定文化財(考古資料)となっている。
高蔵寺73・74号窯跡
記号ではTG231・TG232で表される高蔵寺73・74号窯跡は窯の長さは11.4メートル、最大幅は2.4メートルあり、「陶邑窯跡群」の中で最古の時期に当たる。1990年(平成2年)から1991年(平成3年)に財団法人大阪府埋蔵文化財協会が実施した大庭寺遺跡の発掘調査で検出された。73号窯跡は現地で復元されている(原形は調査後に埋め戻して保存される)。窯跡は案内板はあるが、窯跡はフェンスに囲われており、僅かに見えるものの、近寄ることはできない。
陶邑編年
陶邑遺跡では長期間にわたり須恵器を生産したので、須恵器の形や機能、文様などの形式変化により、出土資料の年代を測る指標となる。陶邑編年と呼ばれ、森浩一、田辺昭三、中村浩らにより編年が示されている。須恵器は古墳や集落、官衙など様々な遺跡で広く出土するため、その年代決定に役立つ。
| 型番 | 形式 | 年代 | 窯 |
| TG232/TG231/ | Ⅰ形式1段階前半 | 5世紀前半 | TG231窯、TG232窯、大庭寺遺跡、濁り池窯 |
| TK73/ON223/TK83 | Ⅰ形式1段階後半 | 5世紀前半 | ON223窯/TK73窯/TK83窯 |
| TK103/TK3051号窯/ | Ⅰ形式2段階 | 5世紀中葉 | >TK103窯/TK305-1号窯/TK216/大仙古墳/ |
| TK49/TK66/TK208/MT70 | Ⅰ形式3段階 | 5世紀後半(古墳時代中期) | TK49窯/TK66窯/TK42窯/TK208窯/MT70窯 |
| TK232/TK42/TK37 | Ⅰ形式4段階 | 5世紀後半(古墳時代中期) | >TK232窯/TK42窯/TK66窯/TK37窯/稲荷山古墳 |
| TG37/TK2 | Ⅰ形式5段階 | 5世紀後半(古墳時代中期) | TG37窯/TK2窯/ |
| TG39-1/KM113 | Ⅱ形式1段階 | 6世紀前半 | TG39-1号窯/KM113号窯 |
| TG44-1/TN5-1 | Ⅱ形式2段階 | 6世紀前半 | TG44-1号窯/TN5-1号窯 |
| TK43 | Ⅱ形式3段階 | 6世紀後半 | TK43-1号窯 | KM114/TG51 | Ⅱ形式4段階 | 6世紀後半から7世紀 | KM114窯/TG51窯 |
| TG63/TG68/TG65 | Ⅱ形式5段階 | 6世紀後半から7世紀 | TG63号窯/TG68号窯/TG65号窯 |
| MT206-1/TG32/TG68 | Ⅱ形式6段階 | 6世紀後半から7世紀 | MT206-1号窯/TG32号窯/TG68号窯 |
| TG68/TG222 | Ⅲ形式1段階 | 7世紀前半 | TG68号窯/TG222号窯 |
| TG55/TG76/TK36 | Ⅲ形式2段階 | 7世紀前半 | TG55号窯/TG76号窯/TK36号窯 |
| TK310/TG222 | Ⅲ形式3段階 | 7世紀後半 | TK310号窯/TG222号窯/ |
| TK310/TG222 | Ⅲ形式3段階 | 7世紀後半 | TK310号窯/TG222号窯/ |
| TG55/TG70/TK321 | Ⅳ形式1段階 | 7世紀末から8世紀前半 | TG55号窯/TG70号窯/TK321号窯 |
| KM22/KM51/KM209/KM301 | Ⅳ形式2段階 | 7世紀末から8世紀前半 | KM22号窯/KM51号窯/KM209号窯/KM301号窯 |
| TK313/TK314 | Ⅳ形式3段階 | 7世紀末から8世紀前半 | TK313号窯/TK314号窯/平城宮SD219出土 |
| KM245/KM35/ | Ⅳ形式4段階 | 8世紀後半 | KM245号窯/KM35号窯/平城宮SD2113出土 |
| MT51-1/MT26/ | Ⅴ形式1段階 | 9世紀前半 | MT51-1号窯/MT26号窯/平城宮SE719出土 |
| TK230-1 | Ⅴ形式2段階 | 9世紀後半から10世紀後半/td> | TK230-1号窯/札馬5号窯/ |
指定
2005年06月09日 出土した須恵器や窯道具は須恵器の編年基準となる資料として、須恵器2572点、窯道具類3点、瓦せん類10点が国指定重要文化財となっている。堺市博物館に保存されている。
-名称:陶邑遺跡のうち「高蔵寺73号窯跡・74号窯跡」 古墳時代
-所在地:大阪府堺市南区宮山台2丁1-9
-交通:南海高野線「北野田駅」または「萩原天神駅」からバス。「宮山台二丁目」バス停下車から徒歩4分。
参考文献
1.中村浩(2025)『泉北丘陵に広がる須恵器窯』新泉社
2.田辺昭三(1967)「陶邑古窯址群(1)」考古学研究14 (1), 53-56
3.大阪府教育委員会・財団法人 大阪府埋蔵文化財協会(1995)『陶邑・大庭寺遺跡Ⅳ』(財)大阪府埋蔵文化財協会調査報告書 第 90 輯
4.大阪府立近つ飛鳥博物館 (2006)『年代のものさし-陶邑の須恵器-』
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