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耳環2026年03月20日 23:35

耳環(東京都埋蔵文化財センター)

耳環(じかん)は耳に装着する環状の装身具で、一般にC字形の開口部をもつ金属製または土石製品を指す。外径は2~3cm程度のものが多い。

概要

古くは縄文時代には縄文時代には滑石などの石製耳飾が主流で、耳朶を拡張して装着する耳栓状のものもみられる。 金属製の耳環は古墳時代後期(6世紀)に全国的に普及するが、出現は5世紀後半に遡る。 男女双方に用いられたと考えられるが、地域や階層により偏りがある。人物埴輪にも耳環が表現される。耳環は編年指標となる重要な遺物であり、、古墳時代後期の社会階層や朝鮮半島との文化交流を示す資料でもある。

製作技術

多くは銅製の芯材に金や銀を施したものである。 遺体の耳の付近から出土することや、人物埴輪の耳に表現されていることから、耳飾り(イアリング)と考えられる。金環は金を表面に施したもの、銀環は銀または銀を施したものであり、外見上の色調による呼称ではない。金と水銀の合金を塗り、加熱して水銀を蒸発させる金アマルガム法(鍍金)は東アジアで広く用いられた表面加工技術である。 製造過程で有毒な水銀蒸気が発生する。

■ 耳環の編年分類

① 細型耳環(初現段階)

  • ● 形態
    • 細い金属線を曲げた単純なC字形
    • 断面は円形で華奢
    • 開口部がやや広い
  • ● 製作
    • 銅線・鉄線を曲げただけの簡素な構造
    • 表面加工なし、または簡単な鍍金
  • ● 年代
    • 5世紀後半~6世紀前半
  • ● 特徴
    • 耳環の初期形態
    • 朝鮮半島系技術の影響が指摘される
    • 副葬品としてはまだ限定的

② 太型耳環(普及・定型化段階)

  • ● 形態
    • 太い金属棒状(断面が太い)
    • 重量感のある環状
    • 開口部が狭くなる傾向
  • ● 製作
    • 銅芯+鍍金(特に金アマルガム法)が主流
    • 中実または中空構造
  • ● 年代
    • 6世紀中葉~後半
  • ● 特徴
    • 全国的に普及
    • 金環が主流となる
    • 横穴式石室の普及と連動
    • 被葬者の威信財としての性格が強まる

③ 装飾付耳環(発展段階)

  • *● 形態
    • 環の表面に装飾を施す
    • 粒金・刻線・突起などが付加される
    • 一部は非対称形や意匠性の高い形態である。
  • ● 製作
    • 高度な金工技術(鍍金+装飾加工)を使う。
    • 金粒(グラニュレーション)などの技法も一部で確認される。
  • ● 年代
    • 6世紀後半~7世紀(飛鳥時代)
  • ● 特徴
    • 上層階級との関連が強い
    • 地域色が顕著になる
    • 朝鮮半島・大陸系装飾の影響

④ 大型・特殊型(終末的様相)

  • ● 形態
    • 極端に大型化したもの
    • 異形(楕円形・厚肉化など)
    • 装飾の簡略化または逆に過剰化
  • ● 年代
    • 7世紀(古墳終末期~飛鳥時代)
  • ● 特徴
    • 古墳文化の変質を反映
    • 副葬品としての意味が変化
    • 仏教的葬制への移行と関係
  • ■ 編年の流れ(まとめ)
    • 細型(5世紀後半)
    •  ↓
    • 太型(6世紀中葉:普及のピーク)
    •  ↓
    • 装飾付(6世紀後半~7世紀:高度化・階層化)
    •  ↓
    • 大型・特殊型(7世紀:終末化)

■ 編年上の重要ポイント

  • 1. 横穴式石室との対応
    • 耳環の普及=横穴式石室の普及期と一致

特に6世紀中葉以降の指標遺物

  • 2. 地域差
  • 畿内:標準的な太型・金環が多い
  • 関東:やや小型・簡素な傾向
  • 九州:装飾性が強く大陸系影響が顕著
  • 3. 社会的意味
  • 威信財 → 身分表示 → 装飾性強化へと変化
  • 副葬品の「儀礼化・形式化」を反映

■ 研究上の意義

  • 古墳時代後期の細かな年代決定(編年指標)
  • 対外交流(朝鮮半島)の検討材料
  • 階層構造の分析(副葬品組成)

出土例

  • 耳環 - 奥原古墳群、群馬県、古墳時代後期
  • 耳環 - 宮中野古墳群大塚古墳、茨城県、古墳時代
  • 耳環 - 小洞古墳群、岐阜県関市広見、古墳時代
  • 耳環 - 中野遺跡、大阪府四條畷市中野本町、古墳時代

参考文献

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