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天王塚古墳(和歌山市) ― 2026年11月03日 00:29

天王塚古墳(和歌山市)(てんのうづかこふん)は和歌山県和歌山市に所在する古墳時代後期の前方後円墳である。

概要

天王塚古墳は、和歌山市東部の岩橋千塚古墳群に属し、岩橋山塊の最高所にあたる標高約155メートルの天王塚山山頂付近に築造されている。 天王塚古墳は、古墳時代後期中頃の墳長約88 メートル、高さ6mの和歌山県最大の前方後円墳であり、埴輪や葺石等の外表施設、造出、基壇、周壕は確認されなかった。後円部は正円形に近く、段築は三段が確認されている。

埋葬施設

後円部中央には、南に開口する両袖式の横穴式石室が設けられている。石室は全長約10.95メートル、玄室の高さ約5.9メートルに達し、石棚と8本の石梁を備える岩橋型横穴式石室である。石室の規模は岩橋千塚古墳群のなかでも最大級であり、玄室の高さは全国的にも際立っている。

副葬品

1964年の発掘調査では、須恵器、土師器、玉類、金銅製金具、馬具、鉄鏃などが出土した。また、羨道からは土師器壺2点と直弧文が描かれた漆膜が出土しており、これらは原位置に近い状態であったと報告されている(和歌山県教育委員会、2020)。玄室内では石棚上からガラス製小玉20 点、金銅製飾り金具、鉄鏃、小札と骨片状のもの、玄室と羨道から須恵器(壺・器台・小像(人物・動物)・小壺・杯)、玉類(銀製空玉・ガラス製小玉・瑪瑙製切子玉・琥珀製玉・滑石製臼玉)、金銅製金具、馬具、鉄鏃が出土した(和歌山県教育委員会(2020))。

2017年の発掘調査では、5000点に及ぶ玉類のほか、履または冠に関係する装飾品や銀製の魚形飾りなどが確認された。これらの遺物は、被葬者の装身具や葬送に用いられた品々を考えるうえで重要である(和歌山県教育委員会、2020)(ニュース和歌山(2021))。 。 出土遺物にはそのほか須恵器、馬具、鉄鏃などがある。

調査

  • 1907年、東京帝国大学人類学教室の大野雲外らによって、天王塚古墳・将軍塚古墳・前山A17号墳などの調査が行われた。
  • 1912年には天王塚古墳の石室が盗掘され、その後、約2か月間にわたって入場料を徴収して石室内部が公開されたとされる。
  • 1963~1966年、和歌山市教育委員会と関西大学による岩橋千塚古墳群の総合調査が行われた。
  • 2015年、和歌山県教育委員会は天王塚古墳と大谷山22号墳を対象に、墳丘規模や段築構造を確認するためのトレンチ調査を実施した。
  • 2017年には、天王塚古墳で発掘調査が行われ、新たな遺物が確認された。

意義

和歌山県内最大規模の墳丘

和歌山県内の古墳の中で第1位の規模である。

大規模な横穴式石室

後円部中央に設けられた横穴式石室は、石棚と石梁を備え、玄室の高さも約5.9メートルに達する。岩橋型横穴式石室の構造や規模を考えるうえで重要な事例である。

紀伊地域の有力首長層との関係

岩橋山地の最高所(天王塚山頂、標高155m)に築かれており、盟主あるいは有力者の墓として、当時の技術力や経済力を示す。

岩橋型(いわわせがた)石室の頂点

紀伊地域特有の「石棚」や「石梁」を持つ岩橋型横穴式石室の発展形を示す。

遺構

  • 前方後円墳

遺物

  • 須恵器、
  • 玉類、
  • ガラス小玉、
  • 馬具、
  • 鉄鏃

指定

  • 2016年10月3日、特別史跡「岩橋千塚古墳群」の第3次追加指定により、天王塚古墳と大谷山22号墳の一部が指定範囲に加えられた。 

被葬者

  • 被葬者の具体的な人物は特定されていない。墳丘の規模や立地から、紀ノ川下流域の有力な地域首長が埋葬されたと考えられており、紀氏など紀伊地域の有力氏族との関係が想定されている。

築造時期

  • 6世紀中葉(古墳時代後期)

展示

  • 出土資料は和歌山県立紀伊風土記の丘などで取り扱われてきた。紀伊風土記の丘資料館は改修工事のため2026年4月から休館しており、2028年(令和10年)下期に和歌山県立考古民俗博物館(仮称)として再開する予定である。古墳の見学についても整備工事に伴う制限があるため、訪問前に公式情報を確認する必要がある。

アクセス等

  • 名称:天王塚古墳
  • 所在地:和歌山県和歌山市下和佐及び西
  • 交通:

参考文献

  1. 網干善教(1967)『関西大学文学部考古学研究紀要 第2冊』関西大学史学・地理学会
  2. 大野雲外(1907)「紀伊海草郡古墳石槨構造について」『東京人類学雑誌第23巻 第259号』,pp.3-6
  3. 「紀伊風土記の丘、54年を振り返る特別展」朝日新聞、2026年2月20日
  4. ニュース和歌山(2021)「天王塚古墳-石室に見る被葬者の権力」ニュース和歌山、2021/11/27
  5. 和歌山県教育委員会(2025)「岩橋千塚古墳群総括報告書Ⅰ」
  6. 和歌山県史編さん委員会編(1983)『和歌山県史 考古資料』
  7. 和歌山県教育委員会(2020)「特別史跡岩橋千塚古墳群-天王塚古墳 2次・3次発掘調査報告書-」和歌山県教育委員会

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