紫檀木画双六局 ― 2024年12月17日 23:56
紫檀木画双六局 (したんもくがのすごろくきょく,Sugoroku Gaming Board)は正倉院に収蔵されている木製の双六盤である。
概要明治時代に双六盤として名付けられた4具のうちの一つとされる。 天板の長辺に木画の三日月形をはさみ各辺に6個の花形を飾る。
由来
中国にシルクロード経由で双六が伝わり、その後、日本には奈良時代に伝わった。国家珍宝帳記載の木画紫檀双六局(北倉37)と、形状、大きさ等が似ている。
概要
日本で現存する最古の双六道具は、朝鮮から渡来した「木画紫檀双六局」である。『鳥獣人物戯画』丙巻に2匹の猿が「盤双六」と小道具を抱えて走る姿が描かれている。
海外における古代のボードゲーム
表記
展示歴
管理
参考文献
紫檀地に木画による装飾を作出する。長側面に2つ、短側面に1つの格狭間を配置する。天板の周囲には双六のサイコロを止めるための立ち上がりを設置する。側面には立ち上がりや脚に花唐草文、鳥、雲、鳥にまたがる人物を描く。木画素材に象牙、黄楊木、緑染鹿角・水牛角・鉄刀木・竹を用いる。
類例
正倉院に下記双六局の類例がある。
No
名称
保管
備考
1
木画紫檀双六局
北倉 37
[[国家珍宝帳]]記載
2
木画螺鈿双六局第1号
中倉 172
弾棊盤の可能性
3
沈香木画双六局第2号
中倉 172
立ち上がりがない
4
紫檀木画双六局 第3号
中倉 172
本品
5
榧双六局 第4号
中倉 172
立ち上がりがない
紀元前にイラク、エジプト等の遺跡から出土された「遊戯盤双六」がある。
増川宏一(1995)によれば、「古代メソポタミア文明時代のウル王朝のボードゲームは、イラク南部のウル第三王朝の王墓から発掘されたものとし、紀元前2600年頃のウルの繁栄と富裕を象徴し、古代世界で最も優美で精巧な細工の遊戯盤として知られている。ロイヤルゲーム・オブ・ウル(Royal Game of Ur)と呼ばれている」とする(参考文献3,pp.16-26)。新彊ウィグル自治区吐魯番のアスターナ墓地206号墓から出土した「螺銅木双陸棋盤」は、長さ28.0cm、高さ7.8cmで〔参考文献2〕、その形状・盤面の装飾が正倉院の「木画紫檀双六局」と似るとしている(参考文献1,p.32)。
すごろくは「双六」のほか「雙六」、「寿語六」、「須語陸」、「須具侶久」、「雙陸」とも書かれる。
+1946年 - 第1回
+1949年 - 東京国立博物館、御物特別展
+1955年 - 第9回
+1964年 - 第17回
+1979年 - 第32回
+1991年 - 第43回
+1995年 - 第47回
+2008年 - 第60回
-名称 :紫檀木画双六局 第3号
-倉番 :中倉 172
-用途 :遊戯具
-技法 :木竹工
-寸法 :縦30.6cm,横54.4cm,高17.8cm
-材質:紫檀 木画(黄楊木・紫檀・象牙・緑染鹿角・水牛角・鉄刀木・竹) 稜角は象牙
1.山本忠尚(2012)「古代の盤上遊戯 数の呪力と考古学(その3)」中国文化研究 (28), pp.21-43
2.新彊維吾爾自治区博物館(1975)『新彊出土文物』文物出版社
3.増川宏一(1995) 『すごろく 1』法政大学出版局
4.game-board of Ul 大英博物館HP
国家珍宝帳 ― 2023年08月05日 14:05
国家珍宝帳(こっかちんぽうちょう,List of rare tresures of the state )は光明皇后が聖武天皇の遺品を東大寺大仏に献納した際の目録である。
概要
756年(天平勝宝8年)6月21日の聖武天皇の七七忌に法会を営み、勅願寺の東大寺の廬舎那仏に聖武天皇遺愛の品を献納して納めた宝物の目録である。正式名は「天平勝宝八歳六月二十一日献物帳」であるが、「国家珍宝帳」と呼ばれる(参考文献1)。
形状
軸端は白檀の撥形である。本紙部分は白麻紙を用いる。巻末に先帝の追福を願う跋文と「天平勝宝八歳六月二十一日」の日付が記載され、藤原仲麻呂、藤原永手、巨萬福信、賀茂角足、葛城戸主の官人の署名がある。墨界は薄い墨で引いた罫線である。企画立案事務は、皇后宮職を改組した紫微中台が担当した。藤原仲麻呂は紫微中台の長官であり、巨萬福信、賀茂角足、葛城戸主は次官である。藤原永手は侍従であった。 目録に記載された宝物は600点以上にのぼる。白麻紙と称する上質紙十八張を張り付いだ、縦25.8cm、横1474.0cmの長大な巻子である。楷書体で記された墨書の上に、一辺8.7cmの天皇御璽の印が料紙全体に三段ずつ押される。白檀の撥型軸に白麻紙を継いだ本紙に唐風の楷書を丁寧に書き、その上に「天皇御璽」印を489か所に捺印する。
構成
巻頭に皇太后の願文を書き、以下、御袈裟、御帯、牙笏、弓箭、刀剣、書法、楽器など六百数十点を列挙する。現存するものはそのうち百余点である。 通称は願文にある「国家の珍宝等を捨す」に由来している。 巻末に藤原仲麻呂、藤原永手、巨萬福信、賀茂角足、葛城戸主がそれぞれ自書する。
書体
国家珍宝帳に記された文字は端正な楷書体とされている。しかし、堀江知彦は王羲之系統の書体の影響によるものと、特異な右払いを含む楷書体の2通りがあると指摘している。唐において最新の様式であった顔真卿初期の書体の影響を国家珍宝帳が受けていることを指摘されていた。書道史研究者の魚住和晃・神戸大学名誉教授は「国家珍宝帳」は王羲之の書法を極めた欧陽詢から唐代の新派につながる書法で書かれていると指摘する。
管理概要
- 名称 - 国家珍宝帳
- 管理番号:北倉 158
- 形態:紙本 墨書
- 用途 : 書蹟・地図
- 技法 : 紙
- 寸法 : 本紙縦25.9cm 全長1474cm 軸長29.3cm
- 材質・技法 : 本紙白麻紙18張 墨書 朱印 軸端は白檀 軸木は杉
出展歴
- 名称:国家珍宝帳
- 1956年 - 第10回
- 1966年 - 第19回
- 1981年 - 特別展『正倉院宝物』(東京国立博物館)
- 1990年 – 第42回
- 2006年 - 第58回
- 2019年 - 正倉院の世界―皇室がまもり伝えた美―(東京国立博物館)
参考文献・注
- 藤田経世編(1972)『校刊美術史料 寺院篇 中巻』中央公論美術出版
- 奈良国立博物館編(2019)正倉院学術シンポジウム「宝物のはじまりと国家珍宝帳」思文閣
菩提子誦数 ― 2023年06月13日 21:40
菩提子誦数(ぼだいしじゅず,Rosary)は正倉院に保管されている木製の数珠である。
概要
木の実で咸珠108枚が作られている。留め金具は金銅製で、紐は後から補修したものである。菩提子は菩提樹の実である。しかし木の実が実際に菩提子ではなく、シナノキ屬(Tilia)の1種の果実の核である。『大安寺伽藍縁起幷流記資財帳』に菩提樹で作った誦数一貫の記載がある。ボダイジュ、シナノキ、ヘラノキもシナノキ屬である。
展示歴
- 1961年 - 第14回
- 1977年 - 第30回
管理
- 名称 :菩提子誦数 第20号
- 倉番 :南倉 58
- 用途 :仏具
- 技法 :木製品
- 寸法 :周囲長 88.0cm
- 材質:
参考文献
- 奈良国立博物館(1977)『正倉院展目録』奈良国立博物館
- 嶋倉巳三郎,村田源(1981)「正倉院宝物の植物材質調査報告」正倉院紀要第9号,p.8
御袈裟箱袋 ― 2023年06月13日 21:38
‘'御袈裟箱袋''(おんけさのはこのふくろ,Wrapper for a Kesa Box)は正倉院に収蔵されている御袈裟箱を包む布袋である。
概要
臈纈で霞襷・魚鳥文を染めた長方形の袷裂を、筒状に縫いつける。表に霞襷魚鳥文﨟纈絁、裏に浅緑絁を用い、それぞれ二幅ずつ継いで袷にし、風呂敷風に四角にして、対角を折り返して、縫い綴じる。熨斗形の形状であり、両口があいているため、箱を一方の口から差し入れ、両方の開口部をたたむと、袈裟箱を包むことができる。
展示歴
- 御袈裟箱袋
- 1956年 - 第10回
- 1965年 – 第18回
- 1983年 – 第35回
- 2006年 – 第58回
管理
- 名称 :御袈裟箱袋 第1号
- 倉番 :北倉 1
- 用途 :収納具
- 技法 :染織
- 寸法 :縦144cm,幅102cm
- 材質:緑臈纈絁 裏は黄緑絁
参考文献
- 奈良国立博物館(2008)「正倉院展60回のあゆみ」奈良国立博物館
最勝王経帙 ― 2023年06月13日 21:37
‘'最勝王経帙''(さいしょうおうきょうのちつ,Sutra Wrapper for the Golden Splendor Sutra)は正倉院に収蔵されている経巻を巻いて束ねた帙である。「織成最勝王経帙」ともいう。
概要
帙は書物を保護するために包みこむ覆いである。「最勝王経」は仏教の経典の一つで、金光明最勝王経のことである。経巻を十巻まとめて保管するための長方形の包みである。 「天下諸国毎塔安置金字金光明最勝王経」「依天平十四年歳在壬午春二月十四日勅」の文字を編み表す。紫紙金書金光明最勝王経十巻を収めていた。本品は東大寺に金光明最勝王経を奉納したときに使われた包みと推測される。 続日本紀には国分寺設置の勅は天平十三年三月十四日とし、類聚三代格、政事要略、院蔵の勅書銅板には天平十三年二月十四日と書かれており、以前から発勅の年次に議論があった。喜田貞吉博士、竹内理三博士は本銘をもってもっとも正しい年次とした。しかし帙銘だけで多くの資料を否定することは不合理である、とする説もある。 経典は天平十二年、天平十三年からはかなり降って製作されている。帙も同様と推測される。時代が下った製作段階で年次を1年間違った可能性もある。
構成
竹ひごを緯の芯とし、紫と白の絹糸を捩り編みみし、文様と文字を織り出す。裏の中ほどに巻子を括るための内帯を縫い付ける。縁の一端に山形の帙帯を付け、そこに外帯を取り付ける。文様は迦陵頻伽(かりょうびんが)を葡萄唐草で囲んだ円文を主文とし、これを二つ並べて、その間に覗花文を並べる。
材質
竹と絹。竹帙の本体部に縁裂や裏裂を付ける。
展示歴
最勝王経帙
- 1947年 - 第2回
- 1964年 – 第17回
- 1974年 – 第27回
- 1980年 – 『東大寺展』(東京国立博物館)
- 1994年 – 第46回
- 2006年 – 第58回
- 2017年 – 第69回
管理
- 名称 :最勝王経帙
- 倉番 :中倉 57
- 用途 :文房具
- 技法 :木竹工
- 寸法 :縦30cm,横53cm
- 材質:竹ひごを絹糸(白・紫)で編んだもの、縁は黄地錦、裏は緋綾 帯・山形は表黄地錦、裏緋綾 組紐帯、内帯は緋綾
参考文献
- 松嶋順正(1980)「銘識より見た正倉院宝物」([正倉院年報]2号 p.31
- 奈良国立博物館(2008)「正倉院展60回のあゆみ」奈良国立博物館
七条褐色紬袈裟 ― 2023年06月13日 21:36
‘'七条褐色紬袈裟''(しちじょうかっしょくのつむぎのけさ,Priest's robe in seven strips of brown pongee)は正倉院に収蔵されている聖武天皇が使用した袈裟である。
概要
国家珍宝帳所載の品である。袈裟は『国家珍宝帳』の筆頭に掲げられており、仏教に深く帰依した聖武天皇の信仰を伝える宝物である。 中国密教の祖である金剛智三蔵(741年没)が使用した袈裟である。名称は「紬」であるが、黄褐色に染めた羅製である。
構成
展示歴
- 1983年 – 第35回
- 1997年 - 第49回
- 2015年 - 第67回
管理
- 名称 : 七条褐色紬袈裟 第2号
- 倉番 :北倉 1
- 用途 :服飾品
- 技法 :染織
- 寸法 :幅297cm, 縦144cm
- 材質:褐色羅(表・裏) 畔・縁は共裂
参考文献
- 奈良国立博物館(2008)「正倉院展60回のあゆみ」奈良国立博物館
漆彩絵花形皿 ― 2023年06月13日 21:32
漆彩絵花形皿(うるしさいのはながたさら,Lacquered Flower-Shaped Platter with Painted Decoration)は正倉院に収蔵されている仏前に供物を捧げる足つきの皿である。
概要
桂の一枚板を用い、中央に四弁花形、四方に花形を配して浅い皿型に彫っている。 757年(天平勝宝八歳)の聖武天皇の一周忌用に製作されたとの説がある。 皿は全面に黒漆を塗り、内面に赤色を塗り、外側面に花葉文を描き、全面に油を塗る。 同じ皿は正倉院に計29枚ある。
構成
脚は容易にとり外すことが出来るため、重ねて収納することができる。
類例
唐招提寺に「黒漆彩色華盤」(重要文化財)がある。
展示歴
- 1953年 - 第7回
- 1964年 - 第17回
- 1985年 - 第37回
- 2004年 – 第56回
- 2013年 – 第65回
管理
- 名称 :漆彩絵花形皿
- 倉番 :南倉 40
- 用途 :仏具
- 技法 :
- 寸法 :縦39.8cm,横37.9cm,高7.1cm
- 材質: 桂
参考文献
- 奈良国立博物館(2008)「正倉院展60回のあゆみ」奈良国立博物館
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