版築 ― 2023年07月29日 10:50
版築(はんちく)は土や砂をつき固める技術である。「ばんちく」ともいう。
概要
土台とする場所に板枠の中に土を入れて突き固め、突棒という重くて細長い棒でつき固め、その作業を繰り返し、層を重ねて作る。 砂と粘土とを交互に層状にして突き固める工法である。 版築は古代中国で発明され、6世紀の終わり頃に日本に伝わった。 城壁や建築物の基壇、土塀の構築などに用いる。 「万里の長城」は版築技法で作られ、「法隆寺」の築地塀も版築である。阿房宮基壇遺跡の版築の1層の厚さは、8~10cmである。
語義
「版」は木の板で造られる枠であり、「築」は杵を意味する。枠と杵は版築の主要な道具である。
工法
土を握って形が残るくらいの水分で施工され、体積が半分くらいになるまで突き固める。
- 版築を作る場所を決め、両側を板などで囲み枠を作る。
- 板で挟まれた間に土・砂利・(にがり)・石灰を入れる。
- たたき棒や“たこ”と呼ばれる道具で、入れた土を硬く突き固める。
- 乾いたら枠(外板)を外す。
出土例
- 大規模な版築層 - 牽牛子塚古墳(7世紀)
- 版築 – キトラ古墳 墳丘は版築によって築成されており、版築を築くための直径10cmの杭と4~5cmの厚みの幕板の痕跡がある。 2種類の土を交互に突き固めて作った厚さ5~10センチの層が幾重も重ねられており、高さ約4メートル、幅約1・4メートルである。
参考文献
- 鬼塚克忠,陸江,唐暁武,甲斐大祐(2002)「中国における古代の版築技術について」
- 「奈良・明日香村 牽牛子塚古墳で強固な墳丘の基礎「版築層」確認」産経新聞、2016年2月13日
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