琵琶塚古墳 ― 2024年11月09日 00:08

琵琶塚古墳(びわづかこふん)は栃木県小山市にある前方後円墳である。
概要
小山市は、栃木県南部の平野部に位置する。鬼怒川と思川の間に広がる宝木台台地付近に広い沖積平野「栃木沖積低地」が形成される。洪積台地上の思川と姿川の合流点付近に琵琶塚古墳は所在する。小山市街より西北方6.5 kmにある。琵琶塚古墳は栃木県内で第二位の規模である。6世紀初頭の築造とされる。
発掘調査
埋葬施設は未確認である。レーダー探査でも不明であった。琵琶塚古墳の調査は,昭和53年11 月10 日(金)から昭和54年1 月13日 (土)まで延べ51日にわたって実施した。東西に2m 帽のトレンチを後円部に4 本,くびれ部付近に1 本,前方部に6 本,前方部周自のコーナーを確認する為に1 本計12 本トレンチが設定された。どのトレンチからも埴輪片が検出された。円筒埴輪列は埴輪の出土状態から,下段築面に配列されている事が確認できた。遺物は埴輪が大半を占めるほかは,わずかに壺形土器の口縁部片が見られた。埴輪樹立の間隔は1m 内外である。朝顔形埴輪の,凸帯は5 段を有し、3 段目と4 段目の間に対向して2 つの円形透し孔が有り,その中間的位置のI 段目と2 段目の間に1つ透し孔が有り,千鳥状に計3方向に透かし孔が見られる。
不適切工事
栃木県内で2番目の大きさの国史跡の前方後円墳・琵琶塚古墳の整備事業について、国への許可申請をしていないなど不適切な手続きのまま改修工事を続けていたと、市教育委員会が2023年12月28日、発表した。整備事業は厚さ約30センチの盛土をして墳丘部を保護する計画であった。2019年から進められていた。当初は埋蔵物の保護などの観点から重機などを使わずに人力で作業する計画だったが、今年度からパワーショベルや、ダンプ車を古墳の一部に乗り入れていた。経費節約や工事日程を短縮するためだったという。 国の史跡については発掘や修復に際し、国に現状変更申請を提出、許可を受ける必要がある。市は事態を重大視して、琵琶塚古墳対策チームを発足し、担当の市教委文化振興課長を交代させた。 市は現状変更申請を怠った原因を(1)担当者の心身不調(2)属人的な業務遂行・情報共有不足(3)慢性的な業務過多(4)県への依存的体質(5)法令等調査・確認の不徹底-を挙げ、これらが複合的に作用したと結論づけている。
副葬品
規模
- 形状 前方後円墳
- 築成 前方部:3段、後円部:3段
- 墳長 123m
- 後円部 径75m 高11m
- 前方部幅70m 長52m 高9m
主体部 - 不明
外表施設
- 円筒埴輪 円筒・朝顔形Ⅴ式
- 葺石 なし
遺物
- 埴輪
- 壺形土器片
築造時期
- 6世紀初頭
被葬者
- 摩利支天古墳の次となる二代目首長の墓
展示
- 国史跡 摩利支天塚・琵琶塚古墳資料館
考察
指定
- 1926年(大正15年)2月24日 国の史跡指定
- 1981年12月09日(昭和56.12.09) 追加指定
アクセス等
- 名称 :琵琶塚古墳
- 所在地 :栃木県小山市大字飯塚字琵琶塚
- 交 通 :JR小金井駅より徒歩60分/JR小山駅より関東バス扶桑団地下車徒歩20分/小山駅から車で20分
参考文献
- 小山市教育委員会(1994)『小山市文化財調査報告書30:琵琶塚古墳発掘調査報告書』小山市教育委員会
- 「小山市の国史跡琵琶塚古墳で不適切な整備実施」朝日新聞、2023年12月29日
- 小山市教育委員会(1979)「環境整備事業に伴う琵琶塚古墳発掘調査概報」小山市文化財調査報告書第7 集
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