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盾持人埴輪2025年08月29日 00:12

盾持人埴輪/横浜歴史博物館

盾持人埴輪(たてもちじんはにわ)は盾を身につけた人物埴輪である。

概要

中国の古典『周礼』に登場する、悪いものをを追い払う呪術師の姿を表現したとも言われる。円筒埴輪の前面に盾を貼り付け、盾の上端に平面的な人頭部を乗せた形で表現されることが多い。古墳の周囲をめぐる円筒埴輪列の中で、盾持人埴輪は外側に向けて配置される。他の人物埴輪と異なり、人物の手足は基本的に表現されない。盾持人埴輪は南では鹿児島県から北は福島県までの121箇所で出土する。築山古墳の盾持人埴輪は盾を体の前面に構えている形であり、一体化している他の埴輪とは形状が異なるので特異といえる。

編年

最古とされる盾持形埴輪は奈良県桜井市の茅原大墓古墳とされる。清水真一(1995)は5世紀前半では盾は「添え物風」だったが、6世紀前半には盾文様の省略化がはじまり、6世紀後半では盾が鰭状になったものが確認されるようになったとする。関東に分布が集中することは若松良一(1992)や清水真一(1995)らが指摘している。編年研究により盾部の変化(清水(1995)、塩谷(2001))、文様の省略化・無文化(塩谷修(2001)、橘泉(2018))、被り物の脱冑化(小野本(2004)、橘泉(2018))、突帯の数の減少(小野本(2004)、南雲(2012)、橘(2018))が確認されているが、林弘幸(2022)は型式学的変遷による編年が論じられていないことが課題であると指摘した。そこで林弘幸(2022)は盾持形埴輪の盾部の付け方に着目し、A〜D類に分類を行った。盾部の鰭化という方向によりA 類→B 類→C 類と変遷することを見いだした。

出土例

  • 盾持人埴輪 - 時塚1号墳、京都府亀岡市、古墳時代中期後半
  • 盾持人埴輪 - 伝東京都下玉川出土、東京都世田谷区、古墳時代後期 6世紀
  • 盾持人埴輪 - 築山古墳、佐賀市大和町、古墳時代

参考文献

  1. 岡﨑晋明(2013)「盾持ち人埴輪の諸相」『龍谷日本史研究』36号、龍谷大学日本史学研究会
  2. 石澤茉衣子(2021)「近畿地方出土埴輪における盾表現」国史学 232,pp1-34
  3. 小野本敦(2004)「盾持人物埴輪の研究」『史觀』151 早稲田大学史学会
  4. 林弘幸(2022)『埴輪の分類と編年- 埴輪検討会シンポジウム2022 資料集-』埴輪検討会 pp.121-138
  5. 塩谷修(2001)「盾持人物埴輪の特質とその意義」『日本考古学の基礎研究 茨城大学考古学研究室20 周年記念論文集』茨城大学人文学部考古学研究報告第4 冊 茨城大学人文学部考古学研究室
  6. 橘泉(2018)「盾持人埴輪の形態的変遷」『待兼山考古学論集』Ⅲ-大阪大学考古学研究室30 周年記念論集、大阪大学考古学研究室
  7. 清水真一(1995)「盾持人物埴輪考」『古代学評論』第4 号古代を考える会20 周年記念 古代を考える会
  8. 平野絢(2024)「関東地方における盾持人埴輪」駒澤考古 50,pp.45-56
  9. 若松良一(1992)「人物・動物埴輪」『古墳時代の研究』9 古墳Ⅲ埴輪 雄山閣