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大神塚古墳2026年01月25日 00:42

大神塚古墳(おおじんづかこふん)は神奈川県寒川町に所在する前方後円墳である。 「応神塚古墳」、「寒川町No.8遺跡」ともいう。

概要

座間市、海老名市、綾瀬市、藤沢市、寒川町を流れる目久尻川・小出川流域を望む相模野台地南縁部、標高約15mの微高地に立地する前方後円墳である。前方部は近世以降の造成により大きく削平されており、全長約50mという数値は、後円部の規模と残存地形から復元的に推定されたものである。高野山真言宗の寺院安楽寺の境内に位置しており、本堂の裏手に存在する。 出土品は鏡、直刀片、斧などである。周溝は全周を巡る明瞭なものは確認されていないが、後円部西側では部分的に周溝状の掘り込みが確認されており、限定的な周溝を有していた可能性が指摘されている。墳丘は裾に近い部分は地山をローム層近くまで掘削して土台を構築し、その後黒色土を盛土した。残存状況から、主体部は粘土槨を基本とし、その内部に木棺を据え、周囲に礫を配した構造であった可能性が高い。築造時期については、かつては出土遺物の解釈から5世紀前半頃とされていたが、近年の再調査により、墳丘構造や鏡の型式再検討の結果、古墳時代前期後葉、4世紀後半頃とみる見解が有力となっている。

調査

明治41年(1908年)に東京帝国大学教授の坪井正五郎の指導で行われた発掘調査により、和鏡2面、中国鏡(漢鏡)1面、直刀3振などが出土した。墳丘上の配石や、和鏡の再配置、さらに安楽寺本尊の年代などから、古墳は中世において山岳信仰・修験的な宗教空間として再利用されていた可能性が指摘されている。 平成30年以降7回に渡り調査された。 ①平成 30 年 3 月 6 日(火)~3 月 30 日(火)(内 14 日間)後円部調査 ②平成 31 年 2 月 18 日(月)~3 月 14 日(木)(内 14 日間)墳頂部調査 ③令和 2 年 2 月 25 日(月)~3 月 30 日(木)(内 11 日間)くびれ部調査 ④令和 3 年 3 月 3 日(水)~3 月 31 日(水)(内 15 日間) 前方部調査 ⑤令和 4年 2 月 22 日(火)~3 月 30 日(水)(内 20 日間)後円部西側周溝調査 ⑥令和 5 年 2 月 21 日(火)~3 月 29 日(金)(内 14 日間)くびれ部再調査 ⑦令和 6 年 3 月 4 日(月)~3 月 28 日(木)(内 15 日間)前方部西側

陪塚

大神塚古墳の周辺に小型古墳5基(大神塚周辺古墳群)が配置される。これらの周辺小型古墳(陪塚的性格をもつ古墳)からは、勾玉・管玉・金環6点・鉄鏃12点以上などが出土している。

被葬者の伝承

被葬者について、寒川地域では寒川神社が国造の祖先を祀る神社と伝えられていることから、大神塚古墳を相模川流域を開拓した初代相武国造・茅武彦命の墓とする伝承がある。ただし、これは後世の伝承に基づくものであり、考古学的に被葬者を特定できる資料は確認されていない。

考察

大神塚古墳は、相模川流域において前方後円墳が出現する初期段階に位置づけられる古墳である。相模川流域では、4世紀後半から5世紀初頭にかけて、前方後円墳の築造が各地で開始されるが、その多くは全長40~60m級の中規模墳であり、大神塚古墳(推定全長約50m)もこの規模帯に属する。

同時期の古墳としては、座間市域の前期前方後円墳や、海老名・綾瀬周辺に分布する初期首長墓が知られているが、これらの多くは副葬品が限定的であり、鏡類の出土例は必ずしも多くない。そうした中で、大神塚古墳から和鏡2面に加え中国鏡(漢鏡)1面が出土している点は、相模川流域においても比較的高い政治的・象徴的地位を示す事例と評価できる。

特に漢鏡は、築造年代と鏡の製作年代との時代差から、新規流通品ではなく伝世品と考えられ、ヤマト王権中枢または王権と緊密な関係をもつ有力首長層によって管理・授与されていた性格の遺物である。相模川流域の同時期古墳において漢鏡副葬例が限られることを踏まえると、大神塚古墳の被葬者は、単なる地域内部の有力者にとどまらず、ヤマト王権の政治秩序に早い段階から組み込まれた首長層であった可能性が高い。

また、大神塚古墳の周辺には複数の小型古墳(大神塚周辺古墳群)が配置されており、被葬者を中心とした首長墓とその従属的墓域からなる構造が認められる。この点も、相模川流域における初期首長制の成立過程を示す好例といえる。

以上の点から、大神塚古墳は、相模川流域において前方後円墳というヤマト王権的墳墓様式が導入される過程と、その担い手となった初期首長層の政治的位置づけを考える上で、重要な指標的古墳として評価することができる。

規模

  • 形状 前方後円墳
  • 墳長 現存42m 
  • 後円部径 径30m 高5.2m
  • 前方部 幅現存15m 長現存10m 高1.2m

外表施設

葺石

遺構

  • 前方後円墳
  • 横穴式石室

遺物

  • 和鏡2面、
  • 中国鏡(漢鏡)1面、
  • 直刀

指定

  • 1997年(平成9年)12月24日 寒川町指定重要文化財:第19号

被葬者

築造時期

  • 古墳時代前期の4世紀後半頃

展示

  • 寒川神社方徳資料館 (一部のみ)

アクセス等

  • 名称:大神塚古墳
  • 所在地:神奈川県高座郡寒川町岡田2385
  • 交通:

参考文献