阿波国造碑 ― 2023年08月10日 09:53
阿波国造碑(あわこくぞうひ)は徳島県名西郡石井町の中王子神社の神体とされていた奈良時代の塼製の碑である。徳島県指定有形文化財である。中王子神社が所蔵し、本館中庭に固定設置される。
概要
明治時代に出土して奉納されたと伝わるが、出土状況は不明である。723年(養老7年)の紀年銘をもつ墓碑で、中王子神社(徳島県名西郡石井町)の御神体である。正面に3行・19字、向かって左側面に2行・10字の銘文が楷書体で刻まれる。銘文には、阿波国造であった名方郡大領の粟凡直弟臣の墓で、養老7年に建立したと書かれる。土製小碑である。 上下にほぞがあることから、製作時に台座と笠にあたる部分が付いていた可能性が高い。
製作者
碑文によれば粟国造で名方郡の郡司(大領)であった粟凡弟臣が723年(養老七年)頃に没したため、同年に造られた墓碑である。「大領」は当時の都の長官である。「栗凡直」は氏族名で、吉野川下流で勢力があった豪族である。「葬送令」に従った墓碑であり、字体、焼成から奈良時代のものとされる。墓誌としては最古級である。律令制では墓碑を製作できるのはは三位以上の位階を持つ者に限定されているので、正七位下の栗凡直弟臣が製作できた理由を検討する必要がある。
寸法
- 縦 28.7cm
- 横 13.7cm
- 高さ 9.9cm
碑文
表面
- 阿波国造
- 中方郡大領正七位下
- 栗凡直弟臣墓
裏面
- 養老七年歳次癸亥
- 年立
指定
- 平成2年11月27日 徳島県指定文化財
書体
管理概要
- 名称 - 阿波国造碑
- 所在地 -徳島県名西郡石井町石井字石井1784
参考文献・注
- 平河南他(2004)『支配と文字』「(文字と古代日本1」吉川弘文館
- 栄原永遠男編(2005)『神仏と文字』「(文字と古代日本 4」吉川弘文館
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