老司古墳 ― 2026年09月27日 00:05
老司古墳(ろうじこふん)は福岡県福岡市南区に所在する古墳時代中期の前方後円墳である。
概要
福岡県を流れる那珂川中流域の西岸に位置する。 全長約76メートル、後円部径約45m、後円部高さ7.9m、前方部幅約40m、前方部長33m、前方部長4mの前方後円墳である。標高約40mの丘陵上に前方部を南に向けて造られている。墳丘に葺石が施され、埴輪が立っていた。副葬品は銅鏡10面(三角縁神獣鏡、方格規矩鏡など)のほか、短甲などの武具、鉄剣・鉄刀などの武器、馬具、装身具(勾玉・管玉)、家形・円筒・壺形埴輪などが出土した、馬具として捩じった鉄棒を銜(はみ)に使用した轡が出土した。 5世紀初頭の築造とされる。 福岡少年院の敷地内に位置しており、立ち入りや見学はできない。
調査歴
発掘調査は九州大学を主体として第1~第3次調査(1965~69年)が行われ、福岡市教育委員会が第4次調査(1987年)を実施した。 第1次調査は1966年8月5日~8月14日に九州大学考古学研究室により行われた。後円部第1号石室の発掘を行ない、古墳主軸に直交する竪穴式石室を確認した。東隣に古墳主軸に平行する第2号竪穴式石室を発見し調査した。第2次調査は1967年8月5日~8月24日に、同じく九州大学考古学研究室により行われた。円部墳丘をめぐる壺形埴輪・茸石の検出、3号石室の南側小田部に階段状施設と前方部上面に通ずる墓道を検出し、追葬を確認した。 認
横穴式石室
後円部に3基、前方部に1基の埋葬施設は「竪穴系横口式石室」として初期の横穴式石室であり、日本における横穴式石室の成立過程を知る上で重要である。石室内に残っていた人骨から、複数の成人男女が葬られていたことが判明している。3号石室が最も初期とされている。
1号石室(後円部中央)
石室長さ約2.1 m、幅約0.95m、高さ約 08mである。構造は最も原初的(竪穴式から横穴式への移行期最初期)な形態を示す。注目すべきは、中国から渡来した貴重な「舶載三角縁神獣鏡」がわざわざ割られた状態(破鏡)で納められていたところが注目される。横に小さな出入口(横口)を設けたことにより「一度造った墓に、後から別の人を葬る(追葬)」が見られる。短甲や大刀、鉄鏃から軍事的な役割をもった首長と見られる。
2号石室(後円部)
石室長さ約2.2m幅、約0.9m、1号石室とほぼ同規模の狭小な石室である。遺物より埋葬時期は5世紀中葉頃と考えられる。
3号石室(後円部中央・最主力)
4つのうち最も規模が大きい石室である。石室長さは約2.4m、幅は約1.0mである。墓道の長さが約9メートルに達するなど、埋葬へのアプローチが最も大規模に設計されている。、墳頂からの深さ2mである。石室自体のサイズがやや拡大している。 竪穴式石室の範鴫になるものの、出入口(横口部)が階段状の構造であり、原初的な横口式の技法をとり入れている。南側小口壁の外に横断面逆梯形の通路状掘りこみが見られる。 第3号石室が最も貴も古く、5世紀初頭に位置づけられる。
4号石室(前方部)
石室は2.22m、幅0.79mの長方形である。石室の壁は割石状の扁平な石を小口積みにして積む。4号石室では外側に開いた扉石(塞ぎ石)を立てるなど、より後世の「横穴式石室」に近づく。入り口に棚を作り、粘土を敷く。石室内には赤色顔料を塗布する。
副葬品
1号石室
鏡(方格規矩鏡1、舶載三角縁神獣鏡)、竪櫛・碧玉管玉など、武器(刀剣類・鉄鏃)、農工具等(鋤先・平鎌・蕨手刀子・砥石など、土器(器台)
2号石室
鏡(変形文鏡1)、武器(鉄剣・鉄鏃・短甲)、馬具(鉸具)
3号石室
鏡(三角縁神獣鏡片1・方格規矩鏡3・内行花文鏡3・捩文鏡1)、装身具(金環・竪櫛・玉類)、武器等(刀剣類・短甲・三尾鉄)、農工具等(鋤先・斧・鑿・鋸・蕨手刀子・鹿角柄・砥石など)、馬具(轡・鞍橋金具)、土器(盤・片枕・器台など)。
4号石室
人骨3体、装身具(竪櫛・滑石勾玉)、鉄製品(刀剣類・鉄鏃、矛)、農工具等(鎌・鉄斧)土師器(大型器台)が出土した。
遺構
- 前方後円墳
- 周濠
遺物
- 銅鏡
- 短甲
- 鉄剣
- 鉄刀
- 鉄矛
- 鉄鏃
- 刀子
- 鍬
- 鋤先
- 斧
- 勾玉
- 管玉
- 金環
- ガラス玉
- 埴輪
展示
指定
- 2000年12月 国指定史跡
アクセス等
- 名称 :老司古墳
- 所在地 :福岡県福岡市南区老司
- 交 通 : 西鉄「大橋駅」から「老松神社前」または「老司団地〔1〕」「老司団地〔2〕」バス停で下車 徒歩約8〜10分
参考文献
- 佐田茂(1975)「竪穴系横口式石室の一側面」史淵 112 pp.309-326
- 福岡市教育委員会(1969)「老司古墳」福岡市埋蔵文化財調査報告書第209集
コメント
トラックバック
このエントリのトラックバックURL: http://ancient-history.asablo.jp/blog/2026/09/27/9878738/tb
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。