金蔵山古墳 ― 2023年05月20日 22:50
金蔵山古墳(;かなくらやまこふん)は岡山県岡山市にある古墳時代の前方後円墳である。岡山県内で第4位の規模の古墳である。なお岡山では「カナグラヤマコフン」と読む。
概要
岡山市の市街地の東方、操山丘陵のほぼ中央、標高 約100 mの山頂に位置する前方後円墳である。北には百間川遺跡群がある平野が広がり、南に広大な干拓地が広がる。 被葬者は海上交通を掌握した有力者とみられる。
調査
昭和28年に倉敷考古館を中心に発掘調査が行われ、発掘調査は後円部墳頂を中心に行われ、2 基の竪穴式石室、副葬品用の小石室、石室を囲む埴輪列などが見つかり、多量の副葬品、多彩な埴輪類が出土した。 平成26年から範囲確認調査を行った。良好な状態で墳丘斜面の葺石や墳丘テラスの埴輪列を検出した。後円部墳頂から斜面にかけての試掘溝で岡山県内最大となる直径約50センチの埴輪列が出土した。直径約50cmの2基と同45センチの1基の底部が、墳頂外縁に沿うように並ぶ。円筒埴輪か、盾形など飾りがついた形象埴輪で、推定される高さは1m以上。上部の直径はより大きかった可能性がある。 西側のくびれ部に「造り出し」が東側のくびれ部には墳丘と陸橋がつながった「島状遺構」とよばれる方形の壇が設置されていた。葬送に関わる祭祀の場と考えられる。「造り出し」は西側くびれ部から後円部墳丘に直接付設され、造り出し上面には円筒埴輪列と柵形埴輪で囲まれた範囲に囲形埴輪、5以上の家形埴輪が配置された。島状遺構上面では柵形埴輪、家形埴輪、蓋形埴輪、ざる形土器、食物をかたどった土製品が出土した。
規模
- 形状 前方後円墳
- 築成 前方部:2段、後円部:3段
- 墳長 165m
- 後円部 径110m 高18m
- 前方部 幅72m
外表施設
- 円筒埴輪 円筒Ⅱ式
- 形象埴輪
- 楯・靫・短甲・草摺・衣蓋・高杯、入母屋造家形、鶏、囲形
- 葺石 あり
遺構
- 室・槨 ①竪穴式石槨②竪穴式石槨
遺物
朝顔形埴輪は基底部に半透明の透かしがあり、3段目に長方形の透かし孔がある。囲形埴輪は先端が三角形の板材を縦に並べ、桟木で固定する瑞垣と出入り口を表現した。柵形埴輪は 楕円形で上辺に山形突起が並ぶ。列状に並べて境界を表現する。
- 【鏡】ボウ製:②変形二神四獣鏡。
- 【玉類】硬玉:①ⅰ棗玉1、碧玉:①ⅰ管玉15・不明筒形品破片①ⅱ釧形品1②管玉35、滑石:②勾玉72。
- 竪櫛40
- 竪櫛1、
- 鋤形石1。
- 鉄剣:2以上
- 鉄刀:①ⅰ2以上②2以上、
- 鉄鉾:①ⅰ1ⅱ2。
- 短頸広身銅鏃18、その他の:①ⅰ
- 特殊鉄鏃2①ⅱ43(特殊・広身)
- 広身・長柳葉鉄鏃36。
- 革綴短甲破片②破片、
- 筒形銅器1
- 筒形銅器1。
- 鎌19・
- 手鎌30・
- 鍬先8、
- 刀子1
- たがね48・
- 錐42・?25・
- 鋸9・
- 刀子18・
- 斧11・
- 鋳造鉄斧5・
- 針約30
- たがね2・?2以上
- 針破片、
- 銛12・
- ヤス約10・
- 釣針4(鎌から釣針までの鉄器類は4個の埴製合子に収められていた)。
- 石槨外
- -方格八乳鏡1
- 滑石刀子11
- 土師器壺1
- 高杯35以上
- 籠目土器5
- 調査前の出土品-滑石剣1・滑石鎌1・滑石刀子70・籠目土器1その他。
築造時期
- 4世紀後半の築造と推定される。
指定
アクセス等
- 名称:金蔵山古墳
- 所在地:〒703-8234 岡山県岡山市中区沢田
- 交通:
参考文献
- 江上波夫(1993)『日本古代史辞典』大和書房
- 文化庁(2019)『発掘された日本列島 2019』
- 「岡山県内最大埴輪の列が出土 金蔵山古墳」山陽新聞、2023年03月02日
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