大西妙見山古墳 ― 2023年05月25日 23:01
大西妙見山古墳(おおにしみょうけんざんこふん)は愛媛県今治市に所在する古墳時代前期の前方後円墳である。
概要
尊真親王稜墓参考地の東方約30mの地点の丘にある。明治36年3月に同地の畑の所有者新居田良吉が麦畑作業をしていて偶然掘り出した。地下約50センチメートルの所に青石製臥棺縦約75センチ、横60センチの中に、朱および辰砂で密閉され仰向けに安臥した人骨が納められていた。骨格の大きさから子供と推察される。副葬品は平面丸形銅鏡1個、鉄製短剣らしきもの一口であった。妙見山は、標高80mで、眼下に大西町の主要部の平野・集落・来島どっくがひろがり、又、来島水軍の支城として知られる怪島(景島)、弓杖島(弓津恵島)の島々も眺められる景勝の地である。2段の列石の付近で円筒埴輪、朝顔埴輪破片が散見できる。段築部・墳裾部では列石が巡らされ、墳丘表面では二重口縁壺形土器・器台形土器(伊予型特殊器台)が検出されている。 墳形は前方部が短くバチ状に開く前方後円形で、前方部を東方に向ける。葺石は認められていない
調査
平成3年の調査により前方部は三味線のバチの形で後円部のある、古い形の古墳で、全国でも珍しいものである。
規模
- 築成 前方部:2段、後円部:2段
- 墳長 56m
- 後円部 径39m 高7m
- 前方部 幅34m 長20m 高4.3m
遺構
埋葬施設は竪穴式石槨2基で、後円部に1基(1号石槨)、前方部に1基(2号石槨)がある。
- 槨 ①②竪穴式石槨
- 棺 ①②刳抜式木棺
遺物
- 円筒埴輪
- 円筒・朝顔形Ⅱ式
- 形象埴輪
- 斜縁獣帯鏡
- 鉄剣
- 斧
- 刀子
- やりがんな-
- 二重口縁壺形土器
- 器台形土器(伊予型特殊器台)
築造時期
指定
- 2010年(平成22年)8月5日 国指定史跡
アクセス等
- 名称:大西妙見山古墳
- 所在地:愛媛県愛媛県今治市大西町宮脇字拝田
- 交通: 四国旅客鉄道(JR四国)予讃線 大西駅(徒歩約25分)
展示施設
- 名称:大西藤山歴史資料館
- 所在地:愛媛県今治市大西町宮脇乙579-1
参考文献
- 肥後和男・竹石健二(1973)「日本古墳100選」秋田書店
- 大塚初重(1996)『古墳辞典』東京堂出版
- 愛媛大学考古学研究室(1992)『妙見山古墳発掘調査概報Ⅱ・埋葬施設編墳丘編』 愛媛大学考古学研究室/愛媛県越智郡大西町教育委員会
- 愛媛大学考古学研究室(1994)『妙見山古墳発掘調査概報Ⅲ・第7次調査』愛媛県越智郡大西町教育委員会
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