姶良Tn火山灰 ― 2025年02月28日 00:05
姶良Tn火山灰(あいらやんざわかざんばい)は約2万9千年前から2万6千年前に南九州の姶良カルデラから噴出した火山灰である。 略称は「AT」である。
概要
後期更新世以降にわが国で発生した最大規模の噴火の一つである。大隅降下軽石、妻屋火砕流堆積物、続く入戸火砕流堆積物とその降下火山灰がある。これらは広域テフラであり、火山灰は四国・中国地方から東北地方にまで広域的に分布する。南九州に広く分布し, いわゆるシラス台地を形成する。旧石器編年で最も重要で確実な指標テフラである。ATは輝石流紋岩質の火山ガラスに富み、きわめて均質である。岩石記載的特性、火山ガラス主成分、微量元素組成など正確な同定に必要な詳細データが得られている。全国的にATの上下から旧石器が発見される遺跡が増えている。地層の年代決定における鍵層の一つである。
放射性炭素年代測定
松本英二、前田保夫(1987)は火山ガラスの屈折率と化学組成から姶良Tn (AT)と同定された火山灰を介在する泥炭質泥 について、ベンゼン-液体シンチレーション法による14C精密年代測定を行ない、AT火山灰の噴出年代として24,720±290y.B.P.を得た。
出土
- 天神段遺跡 - 姶良カルデラシラス層と薩摩火山灰の間の層から多数の石器が出土
- 地蔵平遺跡 - 姶良カルデラの堆積層の上下から石器が出土
- 北中島西原遺跡 - 姶良カルデラ噴火に伴う火山灰直下のⅨb層を中心に石器が出土
参考文献
- 松本英二、前田保夫、竹村恵二、西田史朗(1987)「姶良Tn火山灰(AT)の14C年代」第四紀研究 26 (1), pp.79-83
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