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和泉黄金塚古墳2023年05月25日 22:52

和泉黄金塚古墳(いずみこがねづかこふん)は、大阪府和泉市にある4世紀の前方後円墳である。「黄金塚古墳」ともいう。

概要

前方部を西南に向ける。信太山丘陵の先端部にあり、淡路島や六甲の山並みを一望できる。

調査

1950年、1951年に発掘調査が行われた。巨大な木棺を粘土で覆った埋葬施設が3基並んで見つかり、中央に女性、左右に男性が葬られていた。中央の埋葬施設から卑弥呼が魏に使いを送った景初三年の記年を持つ銅鏡が出土した。後円部から3基の粘土槨(中央槨・東槨・西槨)が検出され、中央槨には割竹形木棺、東槨と西槨には箱形木棺が納められていた。

規模

  • 形状 前方後円墳
  • 築成 前方部:2段、後円部:2段
  • 墳長 85m
  • 後円部 径57m 高8m
  • 前方部 幅34m 長35m 高4m
  • 外表施設 円筒埴輪 円筒・朝顔形Ⅱ式
  • 形象埴輪 家
  • 葺石 あり
  • 主体部 室・槨
  • ①~③粘土槨
  • 棺 ①割竹形木棺、②③箱形木棺

構造

周囲に盾形の周溝が巡り、これを含めると全長は115mとなる。墳丘斜面には葺石がみられ、円筒埴輪が巡らされている。 周濠は前方後円形で、幅8~15m。周濠は現状で7ヶ所の段がある。

遺構

形態上は横から遺骸を収める横穴式石室であるが、割石や切石、河原石などを積み上げる通常の石室構造ではなく、1個の巨大な凝灰岩をくり抜いて石室を作る。墳丘裾部に凝灰岩切石が敷き詰められている。一辺(約9メートル)はほぼ完全なかたちで遺存されている。石敷の外側に砂利が敷き詰められ、その部分を含めると全体は32メートルほどの規模になると推定される。玄室および羨道内から出土した遺物の中から、乾漆棺の破片が検出されてい折り玄室内の作り付け棺の床上に、乾漆棺が置かれていたとみられる。乾漆棺は七宝をはめ込んだ、亀甲型の金具や花模様の金銅製の金具で装飾されていたと推定されている。

遺物

出土品は畿内地域における古墳の副葬品の典型的なセットとして貴重である。 出土品は一括して重要文化財に指定され、東京国立博物館で保管されている。

  • 【鏡】中国:①ⅰ斜縁二神二獣鏡1、①ⅱ画文帯同向式神獣鏡1(景初三年銘)、②ⅰ画文帯環状乳神獣鏡2・三角縁盤竜鏡1、③ⅰ画文帯同向式神獣鏡1。
  • 【玉類】硬玉:①ⅰ硬玉勾玉8・硬玉棗玉5、②ⅰ硬玉勾玉4・硬玉棗玉2、③ⅰ硬玉勾玉2・硬玉棗玉棗玉3、碧玉:①ⅰ碧玉勾玉3・碧玉管玉85、②ⅰ碧玉管玉68、③ⅰ碧玉管玉88、滑石:①ⅰ滑石勾玉17・滑石棗玉多数・滑石臼玉多数、③ⅰ滑石勾玉1、ガラス:①ⅰガラス小玉若干、②ⅰガラス小玉972。【装身具】石製腕飾類:①ⅰ碧玉製車輪石1・碧玉製石釧1、②ⅰ碧玉製鍬形石1。【石製模造品】器財:②ⅰ碧玉製紡錘車2、その他:①ⅰ水晶製筒形石製品1、②ⅰ碧玉製筒形石製品2。
  • 【武器・刀剣類】鉄剣:①ⅱ10(短剣18)、②ⅰ4、③ⅰ3、鉄刀:①ⅱ9、②ⅰ2、③ⅰ3、鉄槍:②ⅱ3、③ⅱ1、鉄鉾:②ⅱ1。
  • 【武器・鏃】その他の鉄鏃:②ⅱ110(無茎広身・長柳葉・長柳葉二段腹抉・椿葉)、③ⅰ110(鑿頭・短茎広身・柳葉・短頸三角)、銅鏃:③ⅰ1。
  • 【その他の武器】③ⅰ石鏃1。
  • 【武器・その他】③ⅰ石鏃1。
  • 【武具】革綴短甲:②ⅰ三角板1、③ⅰ長方板1、衝角付冑:②ⅰ三角板1、③ⅰ三角板1、その他:②ⅰ肩鎧・頸鎧1・草摺1、②ⅱ楯2(巴形銅器3)、③ⅰ頸鎧1・肩鎧1。【農工具】農具:①ⅱ両端折曲げ鍬2~3・直刃鎌7、②ⅰ両端折曲げ鍬3・手鎌2、工具:①ⅱ刀子1・斧9・剣形工具?、②ⅰ刀子5・斧7、②ⅱ斧2・鋸1・刀子状工具2・?1・刺突具2・鑿2。-【その他】②ⅱ方孔円形銅銭1(五銖銭か?)。

指定

  • 1972年(昭和47年)5月30日指定重要文化財 和泉黄金塚古墳出土品(考古資料)
  • 2008年(平成20年)3月28日 国指定史跡

アクセス

  • 名称:和泉黄金塚古墳
  • 年代: 古墳時代・4世紀
  • 所在地:大阪府和泉市上代町
  • 交 通: JR阪和線北信太駅から徒歩6分、コミュニティバス(めぐ~る)阪和線ルート「北信太駅筋」乗車「サン燦プール前」下車、徒歩15分

参考文献

  1. 大塚初重(1996)『古墳事典』東京堂出版
  2. 青木敏(2022)『古墳図鑑』日本文芸社

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