田久松ヶ浦遺跡 ― 2023年07月17日 11:21

田久松ヶ浦遺跡(たくまつがうらいせき)は福岡県宗像市にある縄文時代から古代までの複合遺跡である。
概要
宗像市の鞍手郡との境にある丘陵の先端部標高16mから37mの稜線と斜面に位置する遺跡である。丘陵地開発の申請を期に、土壙墓、竪穴遺構、住居跡、貯蔵穴があることが分かり、発掘調査を行い、記録を残す事になった。西側1kmには曲香畑遺跡があり、東側1kmには'田久爪が坂遺跡がある。田久松ヶ浦遺跡は宗像市で最も古い弥生時代の墳墓遺跡である。
石槨木棺墓
石川日出志(2014)は「九州でみたこともないような堅固な石積みの埋葬施設で、朝鮮半島の実例に近い。握りのついた剣(有柄式磨製石剣)、長い石鏃(有茎式磨製石鏃)、北部九州の弥生土器の添え方など、埋葬施設、副葬品、小壺の添え方など朝鮮半島の南部と同じである」とする。朝鮮半島の影響が明確に表れた遺跡である。
発掘調査
平成10年(1999)に調査が行われた。弥生時代前期の墳墓は土壙墓三・石槨墓二・木棺墓九・甕棺墓一が列状に分布している。SK206は二段掘りの土坑に木棺を据え、側石を積上げたのち蓋石を架ける石槨墓である。墓壙の東側側面から有柄式磨製石剣、有茎式磨製石鏃、副葬小壺が出土した。墓壙は二段掘り込みで、墓壙の南寄りに平面隅丸長方形の埋葬壙が彫り込まれている。墓石は8個の石材を掛け渡し、隙間を石材で埋めているが、不完全なため石蓋直下まで覆土が流入していた。
遺構
縄文時代
- 落穴状遺構 6基
弥生時代
- 住居跡 11基
- 貯蔵穴 7基
- 木棺墓 11基
- 土壙墓 3基
- 甕棺墓 1基
遺物
- 有柄式磨製石剣 2点
- 有茎式磨製石鏃 12点 -縄文晩期後半
- 扁平片刃石斧 1点 -板付Ⅰ式併行期
- 石包丁
- 砥石
- 壺 10点
- 甕
- 高坏
指定
アクセス等
- 名称:田久松ヶ浦遺跡
- 所在地: 福岡県宗像市大字田久1172-1ほか
- 交通: JR九州鹿児島線 赤間駅 から徒歩11分。
参考文献
- 宗像市教育委員会(1999)『田久松ケ浦-福岡県宗像市田久所在遺跡の発掘調査報告』宗像市文化財調査報告書第47集
- 石川日出志(2014)『邪馬台国を再考する』いせキング宗像シンポジウム2014講演
- 原俊一・白木英敏・(2000)_宗像地域における弥生時代前期の集落と墓制_日本考古学第9号,pp.123-135
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