見瀬丸山古墳 ― 2023年10月14日 21:13
見瀬丸山古墳(みせまるやまこふん)は奈良県橿原市に所在する古墳時代後期の前方後円墳である。「見瀬丸山古墳」は通称である、別称「丸山古墳」、「大軽丸山古墳」、「五条野丸山古墳」」。
概要
奈良県で最大の前方後円墳で、全国で第6位の規模の巨大古墳である。古墳は丘陵上の傾斜地に設けられている。350年続いた前方後円墳時代から、横穴式石室古墳への過渡期となる重要な古墳である。前方部は平坦であるが、後円部は10m高い。墳丘部および周辺部の発掘調査はなされていない。埴輪、葺石は見られない。 全体像が分からないため、円墳と考えられていた時代があった。 全長約310m、後円部径約150m、前方部幅約210m、周濠を含めると全長約420mにもなる超大型の前方後円墳である。全国でも第6位の規模の巨大古墳で、大王墓としては最後の前方後円墳である。前方後円墳の築造が終焉を迎える時期は、蘇我馬子が飛鳥寺の造営に着手した時である。寺院建立のパワーが寺院造営に振り向けられたのであろうか。 奈良県見瀬町は周濠の一部にかかるだけであるから、見瀬丸山古墳という呼称は適切でないという意見が出た。
石室
1991年(平成3年)、橿原市在住の児童が友人と遊んでいた際、同古墳の柵外で横穴式石室羨道への入口を発見した。数日前の大雨で古墳の土砂が崩れて穴が露出したものである。この話を聞いた児童の父親は、同年5月30日早朝の出勤前に自身の子と共に羨道を通って内部に入り、カメラで石室内部を撮影した。父親から連絡を受けた大阪の朝日放送が撮影した写真の解析を、東海大学情報技術センターとコニカの共同作業で行い、算出した。寸法は撮影者の子供が写っている写真を基に解析し決定された。 100トンを超える巨大な自然岩を使用した石室には2つの家形石棺が置かれている。 羨道は一枚の長さ4.8メートルの巨大な自然石6枚で天井を覆う。 石室の規模は現状でおおよそ全長28.4m、玄室長8.3m、羨道長20.1m。蓋の形態から、石室入口側(玄門側)に安置されているほうが古く、石室奥側(奥壁側)に安置されているほうが新しいと考えられる。刳抜式家形石棺が2基、L字型に直交するように置かれている。玄室内には約1メートルの土砂が堆積しており、石棺の身については詳細は不明である。 1991年12月に後円部石室開口の報道あり。一般市民により石室内の写真撮影がなされる。1992年の宮内庁の調査で全長28mとの見解が出される。
国史跡(丸山古墳)、後円部のみ畝傍陵墓参考地
規模
- 形状 前方後円墳
- 築成 前方部:2段、後円部:3段
- 墳長 310m
- 後円部 径150m 高21m
- 前方部 幅210m 長188m 高15m
- 【周濠】 楯形(全周)。
遺構
- 主体部
- 室・槨 横穴式石室(両袖式)
- 棺 家形石棺 2
遺物
- 【土師器】1
- 【須恵器】坏蓋・身・高坏・甕など11(TK43)
被葬者
古墳の築造時期や石棺の様子などから、被葬者は欽明大王、その夫人の堅塩姫や蘇我稲目などが候補となっている。蘇我稲目が死亡した570年は棺の年代観と整合する。地元住民の間では欽明天皇の墓との伝承があった。 江戸時代には、天武天皇・持統天皇の合奏陵(檜隈大内陵)とされていた。その後、野口王墓古墳が実際の合葬陵と判明したため、宮内庁は陵の指定を解除し、「陵墓参考地」に格下げした。ほかに宣化天皇]説もある。欽明天皇陵とする説もあるが、丸山古墳の所在地は檜隈の範囲には含まれないことが問題とされる。欽明天皇と、堅塩媛とすると、なぜ奥に新しい棺があるのかということが問題として残る。
築造
指定解除後の調査で後円部より出土した唐式鏡が京都大学文学部博物館に所蔵されている。宮内庁の実測調査時の特徴から田辺編年のTK43型式の須恵器片が出土しており、5世紀ないし6世紀半ばまでに築造された古墳に見られる埴輪は一つも発見されていないことからも、築造時期は6世紀後半であるとの説が有力とされる。 築造は6世紀後半と推定される
指定
- 1953年11月14日 – 重要文化財
所在地等
後円部頂部は陵墓参考地のため入れないが、古墳全体(国指定史跡)は、展望公園として公開されている。
- 名称: 五条野丸山古墳
- 年代: 6世紀後半頃
- 所在地:奈良県橿原市五条野町、奈良県橿原市見瀬町
- 交通: 近鉄岡寺駅より 徒歩3分
参考文献
- 大塚初重(2019)『巨大古墳の歩き方』宝島社
- 宮内庁(1994)「畝傍陵墓参考地石室内現況調査報告」
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