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桜馬場遺跡2023年10月01日 20:58

桜馬場遺跡(さくらばばいせき)は佐賀県唐津市にある弥生時代の後期の甕棺群遺跡である。

概要

佐賀県の唐津湾を望む砂丘上にある遺跡である。 唐津市の桜馬場遺跡は1944年(昭和19年)の太平洋戦争中に防空壕をつくろうと掘削していた際に発見された。地下1メートル余りの所から、副葬品が豊富に納入された甕棺が出土した。佐賀市城内の佐賀県立博物館に保管展示される。

調査

1944年(昭和19年)唐津市桜馬場の隣保班長より龍渓顕亮に連絡があり、同所の西岡氏宅の庭の防空壕の掘削中に甕棺が発見され銅鏡二、巴型銅器二、有鈎銅釧二十六などの出土が知らされて龍渓顕亮は現場にかけつけ、詳細な見取図を作成し、記録に努めた。甕棺は戦時中でもあり、すぐに敷地内に埋め戻された。桜馬場遺跡の出土品は、九州大学鏡山猛教授が見るところになり、ひいては京都大学の梅原末治が知る所となり、1948年(昭和23年)に奈良国立博物館で開催された戦後初めての展示会「日本考古展」に出展された。 1944年に出土した遺物は方格規矩鏡2、有鉤銅釧26、巴形銅器3、ガラス製小玉1、鉄刀片1であった。これらは重要文化財に指定された。1955年に考古学協会により調査されたが 王墓の特定には至らなかった。2007年に唐津市教育委員会が確認調査を実施し、龍渓顕亮が残した記録をもとに王墓と青銅器を発見した。この青銅器の中には、1944年に発見された流雲文縁方格規矩四神鏡や巴形銅器に接合するものがあった。そのほか鏡片、巴形銅器、ガラス製小玉、中国製と考えられるガラス製管玉。碧玉製管玉、硬玉製勾玉、中国式武器である素環頭大刀がみつかった。巴形銅器は有鈎と無鈎とがある。有鈎は半球形座に鉤が付き、6支脚を有し、3点が出土し、うち1点は支脚片であるが昭和19年出土資料と接合した。 用途は不明であるが、古墳時代には盾の装着した例がある。 ガラス製管玉は大型・小型の2規格であった。小玉は大量に出土し、総数2,307点を数える。甕棺のうち形に復元できた下甕(棺体A)は、 その形態的な特徴から弥生時代後期前半新段階に帰属すると考えられており、桜馬場式の名で知られる。

末盧国の王墓

弥生時代中期の主要遺跡が松浦川東岸を中心に分布するのに対し、この一帯が後期の末盧国の拠点であった可能性がある。「王墓」周囲には甕棺がみられないことなど、墓地の階層構造が伺える。 これらの遺物から、末盧国の格の高い首長であったと想定されている。副葬品の質の高さから、魏志倭人伝に記載される末盧国の王墓と推定されている。弥生時代の王墓クラスの位置が確認されたのは、福岡県前原市の三雲南小路遺跡、平原遺跡に次いで3例目であった。 西谷正・九州大名誉教授(考古学)は「末盧国の王墓を学術的調査によりピンポイントで示した意義は大きく、全国的にも重要な発見である。豊富な副葬品は最高権力者の証しで、破片を確認した「素環頭大刀」は銅鏡とともに、当時の中国から王位を認められ、授かった可能性もある。末盧国の王墓の全容がほぼ解明できる内容だ」と述べる。

遺構

  • 墳墓
  • 甕棺墓

出土

  • 鏡片
  • 円形銅器
  • 素環頭大刀
  • 匂玉
  • 管玉(ガラス製)
  • 小玉(ガラス製)
  • 甕棺
  • 弥生土器
  • 有鉤銅
  • 鉄刀
  • 巴形銅器
  • 流雲文縁方格規矩四神鏡(銘帯「<文字>尚方佳竟真大好 上有仙人不知老 渇飲玉泉飢食棗 浮游天下敖四海 徘徊名山採芝草 寿如金石之国保兮」方格内「<文字>子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥</文字>」、完形23.2cm、1944年出土、佐賀県立博物館蔵)
  • 方素縁方格規矩渦文鏡(銘帯「<文字>上大山見神人 食玉英飲〓泉 駕交龍乗浮雲 長宜官</文字>」、完形15.4cm、1944年出土、佐賀県立博物館蔵)
  • 内行花文鏡(銘文なし、破片19.2cm、1956年出土、佐賀県立博物館蔵(岩本きみ代旧蔵))
  • 巴形銅器3
  • 有鉤銅釧26
  • 広形銅矛1

指定

  • 昭和32年2月19日 国の重要文化財指定

アクセス

  • 名称:桜馬場遺跡
  • 所在地:佐賀県唐津市桜馬場4丁目
  • 交通: JR唐津駅から徒歩11分(西に800m)

参考文献

  1. 文化庁(2008)『発掘された日本列島』朝日新聞出版

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