阿波国造碑 ― 2026年06月17日 00:05
阿波国造碑(あわこくぞうひ)は徳島県名西郡石井町の中王子神社の神体とされていた奈良時代に製作された焼成土(塼)製の墓碑である。徳島県指定有形文化財である。中王子神社が所蔵し、神社境内に保存・展示されている。
概要
阿波国造碑は明治時代に出土して中王子神社に奉納されたと伝えられるが、詳しい出土地点や経緯は明らかではない。723年(養老7年)の紀年銘をもつ墓碑で、現在は中王子神社の御神体として伝えられている。正面に3行・19字、向かって左側面に2行・10字の銘文が楷書体で刻まれる。銘文には、阿波国造であった名方郡大領の粟凡直弟臣の墓で、723年(養老7年)に建立したと書かれる。焼成土で作られた小型の墓碑である。 上下にほぞがあることから、製作時に台座と笠にあたる部分が付いていた可能性が高い。
被葬者
碑文によれば阿波国造で名方郡(奈良時代、平安時代の郡の名称、現在の名東郡と名西郡)の大領(郡司、郡の長官)であった栗凡直弟臣(被葬者)が723年(養老七年)頃に没したため、同年に造られた墓碑である。「大領」は律令制における郡の最高職で、郡の行政を統括した。「栗凡直」は氏族名であり、吉野川下流において勢力があった豪族である。「弟臣」は栗凡直に属する人物である。墓に墓石を立てて官位・姓名を記すところは「葬送令」に従った墓碑であり、字体、焼成から奈良時代のものとされる。墓誌としては最古級である。律令制では墓碑の建立は高位者に限られていたとされるため、正七位下の人物の墓碑である本碑は、その運用実態を考える上で注目されている。
寸法
- 高さ 19.8cm
- 幅 17.4cm
- 厚さ 9.9cm
碑文
表面(正面) 3行19文字
- 阿波国造
- 中方郡大領正七位下
- 栗凡直弟臣墓
側面 2行10文字
- 養老七年歳次癸亥
- 年立
碑文には「養老七年歳次癸亥」「年立」と刻まれている。
指定
- 1990年(平成2年)11月27日 徳島県指定文化財
管理概要
- 名称 - 阿波国造碑
- 所在地 -徳島県名西郡石井町石井字石井1784
- 交通 - JR徳島線「石井駅」下車、南方向へ徒歩約20分
参考文献
- 平河南他(2004)「支配と文字」『文字と古代日本1』吉川弘文館
- 栄原永遠男編(2005)「神仏と文字」『文字と古代日本 4』吉川弘文館
- 松原弘宣(2004)「国造と碑-那須国造碑と阿波国造碑」『文字と古代日本1」,pp.43-58
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