里田原遺跡 ― 2023年05月20日 23:08
里田原遺跡(さとたばるいせき)は長崎県平戸市にある縄文時代晩期から弥生時代前期の遺跡である。
概要
江迎湾を望む標高50mから60mの玄武岩台地に立地する。面積40万m2の低湿地である。 土器や石器とともに弥生時代の木でできた道具(木製品)が出土したことから、壱岐市原の辻遺跡と並ぶ、長崎県で有数の遺跡となっている。里田原遺跡では低湿地のため粘土と地下水で密閉され、木製品が腐らずに残っていた。遺構遺物は初期農村の姿をよく示す。木製遺物は700点余が出土し、①広鍬・竪杵等の農具は農村の成立と定着を示す。②ちょうな、よきなどの工具木柄と未完成木器は、専業工人集団と分業化社会の成立を示す。③案・槽などの食物供献具や磨製石剣と把頭飾等は祭政の首長の存在と階級の分化を示すものとして注目された。
調査
23次に渡る調査を長崎県教育委員会が実施した。下部構造が箱式石棺の支石墓3が現存する。
出土
鍬や鋤・竪杵などの農具、斧・手斧の柄などの工具、椀やしゃもじなどの日用具、柱や梯子などの建築部材、漆塗り木製品が出土した。 水門状遺構、護岸施設、畦畔などの農業土木関係遺構や汀線際に作られた竪穴施設などを検出した。制作工程が分かる木製品、磨製石器、方鉛鉱の把頭飾の出土は注目される。
指定
- 県指定史跡 昭和48年2月6日 里田原遺跡
展示
出土した木製品は保存処理し、里田原歴史民俗資料館に展示する。
所在地等
- 名称: 里田原遺跡
- 所在地:平戸市田平町里免字大田239-3ほか
- 交通: JR松浦線平戸口駅から東へ1km。西肥バス「弥生幼稚園前」 徒歩1分
参考文献
- 長崎県教育委員会(1973)「里田原遺跡」
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