佐味田宝塚古墳 ― 2023年05月23日 21:49
佐味田宝塚古墳(さみたたからづかこふん)は奈良県北葛城郡にある前方後円墳である。
概要
奈良県北葛城郡河合町佐味田にある奈良盆地の西方の馬見古墳群の中で中核的な位置を占める大型前方後円墳である。後円部に比べて前方部が狭長であり、古式の特徴がある。 1881年(明治14年)、地元民により後円部が発掘され、鏡や玉類、石製模造品などの遺物が出土した。佐味田宝塚古墳から出土した鏡は、発掘当初36面を数えたとされ(現在26面が伝わる)、一つの古墳から出土した枚数では全国第三位に相当する。出土品は東京国立博物館、奈良国立博物館、宮内庁書陵部に分散して所蔵される。馬見地域で最初に築造された前方後円墳である。奈良盆地は見えない場所であるから、葛城の方向を意識して立てられた可能性がある。
三角縁神獣車馬鏡
神仙や神獣、山岳文とともに神仙の乗り物と思われる二輪馬車が一台描かれる。馬車が描かれるのは一般的には画像鏡であり、三角縁神獣鏡に採り入れられた例は貴重である。銘文帯には「尚方作竟真大好 上有仙人不知老」、「保子宜孫寿如金石」など、三角縁神獣鏡や画像鏡の慣用句が刻まれる。
家屋文鏡
我が国唯一の出土例である家屋文鏡が有名である。古墳時代の建物の外観やその思想的背景を知るうえで重要な資料である。
調査
1885年(盗掘)、1986年。(埋葬部は未調査)
規模
- 形状 前方後円墳
- 築成 前方部:2段、後円部:2段
- 墳長 111.5m
- 後円部 径60m 高8m
外表施設
- 円筒埴輪 円筒Ⅱ式
- 形象埴輪 蓋・靱・楯・短甲・草摺・壺、家、
- 葺石 あり
遺構
- 室・槨 粘土槨(割竹形木棺の可能性大)
遺物
- 流雲文縁方格規矩四神鏡1
- 神人車馬獣画像鏡1
- 三角縁銘帯式二神二獣鏡1
- 三角縁銘帯式車馬山岳神獣鏡1
- 三角縁銘帯式四神四獣鏡1
- 三角縁銘帯式四神四獣鏡1
- 三角縁唐草文帯式四神四獣鏡1
- 三角縁銘帯式四神四獣鏡1
- 三角縁銘帯式六神三獣鏡1
- 三角縁獣帯式三神三獣鏡1
- 三角縁複波文帯式三神三獣鏡1
- 三角縁複波文帯式三神二獣一博山炉鏡1
- 斜縁銘帯式二神二獣鏡1
- 菱雲文縁方格規矩八獣鏡1
- 獣文縁方格規矩八獣鏡1
- 「菱文縁」方格規矩八獣鏡1
- 複波鋸歯文縁方格規矩渦文鏡1
- 三角縁獣帯式三神三獣鏡1
- 鼉龍鏡(変形神獣鏡)1 -宮内庁書陵部蔵
- 三神三獣鏡1
- 細線式獣形鏡1
- 六獣形鏡1
- 神獣画像形鏡1
- 家屋文鏡1
- 石釧1・
- 鍬形石1
- 刀子34
- 鑿1
- 斧1
- 鎌2
- 剣2
- 合子1
- 紡錘車2?
- 銅鏃:28
- 巴形銅器2。
築造時期
- 4世紀後半から末頃の築造と考えられる。
指定
- 1987年(昭和62年) 国の史跡
アクセス等
- 名称:佐味田宝塚古墳
- 所在地:〒636-0062 奈良県北葛城郡河合町佐味田
- 交通:近畿日本鉄道大阪線大和高田駅から奈良交通バス「竹取公園東」下車、徒歩約15分。
参考文献
- 江上波夫(1993)『日本古代史辞典』大和書房
- 文化庁(2019)『発掘された日本列島 2019』共同通信社
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