深鉢形土器 ― 2023年11月19日 20:48
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深鉢形土器(ふかばちがたどき)は底部から口縁部まで直線的に変化する形態で、口縁部と胴部の間の大きくくびれた部分がない縄文時代の土器をいう。
概要
鉢形土器のうち器高が高く、バケツ状の形状の土器を深鉢形土器という。 皿状の器高の低いものを浅鉢形土器という。 長谷部言人は高さが口径の3分の2以上を深鉢形土器、3分の1以上、2分の1未満を浅鉢形土器として提案した。 縄文土器は深鉢形土器が最初に出現し、深鉢形土器から浅鉢形土器が分岐した。 北海道、東北北部、近畿以西の縄文中期では深鉢形土器が主流である。縄文時代後期になると中期以降の煮炊用の深鉢に加え、祭祀用や貯蔵用の鉢、浅鉢、台付浅鉢、注口土器、壺などの多彩な器種で構成された土器群が、列島全域に展開する。
浅鉢と深鉢
坪井清足は熊本の御陵貝塚、滋賀の滋賀里遺跡から、深鉢と浅鉢の個体比率は7対3であることを明らかにした。しかし、時代差や地域差の変化は今後の研究課題である。
用途
器の底部に火による変色が見られ、内外面に煤や炭化物が付着した状態で出土されるものが多いため、主として煮炊き用として使用されていたと考えられる。
作例
- 深鉢型土器 - 笹山遺跡、新潟県十日町市、縄文時代中期
- 大型深鉢土器 - 桂野遺跡出土、山梨県笛吹市、縄文時代中期
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