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顔面付土器2023年12月26日 16:40

顔面付土器/長竹遺跡/縄文時代晩期

顔面付土器(がんめんつきどき)は人や獣の顔を立体的に表現した土器である。

概要

縄文時代では東北地方の前期初めの土器に見られる。前期後半から増加傾向が見られ、関東の前期後半の深鉢、中部高地の中期中頃の深鉢、北海道・関東等の縄文時代後期・晩期の注口土器などがある。弥生時代には短い口頸部に目耳鼻口などを立体的に表現し、壺の胴部を体幹に見立てた壺形土器が再葬墓などから20例以上出土する。弥生Ⅱ期、Ⅲ期の関東を中心に愛知から福島まで分布する。しかし出土数は少なく、各遺跡で1,2点のみである。 南関東から近畿にかけてのⅡ期からⅤ期に顔面付土器は出土するが、集落跡からの出土であるため、再葬墓とは性格が異なるとの指摘がある。

人面土器との違い

人面土器は土器の側面に墨書や線刻で人面を描いた土器である。大野城市で仲島遺跡の東端部、御笠川の氾濫原の砂の中から3点の土師器の人面墨書土器が見つかっている。 そのうち2点は丸底の土師器の鉢、残り1点は土師器の甕に人面が書かれていた。 顔面付壺形土器は、多くが再葬墓と呼ばれる墓から出土していることから、骨を収めた容器として使われたと考えられている。「顔壺」とも呼ばれる通り、70センチ近い大きな土器全体を人の体と見立て、壺の口の部分に粘土で眉・鼻・口・顎・耳を貼り付け、顔を立体的に表している。目と口の周りに刺青のような模様が刻まれ、造形的には縄文時代の土偶の流れにある。

出土例

  • 顔面付壺形土器 - 女方遺跡出土、茨城県筑西市、弥生時代(中期)
    • 目と口の隈どりは入墨のようであり、弥生人の風貌を想起させる。
  • 人面文壺形土器 - 亀塚遺跡、愛知県安城市東町、弥生時代終末期、国指定重要文化財

参考文献

  1. 石川日出志(1987)「土偶形容器と顔面付土器」『弥生文化研究』8(金関恕・佐原真編)雄山閣出版
  2. 石川日出志(2008)「関東・東北における弥生時代中期の顔面画土器」駿台史学第133号77-90頁

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