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前漢鏡2024年01月02日 16:01

前漢鏡(ぜんかんきょう)は中国の前漢時代(紀元前202年~紀元8年)につくられた鏡である。

概要

岡村秀典(1984)は漢鏡は文様と銘文が多様であり、時間の変化が激しいとする、 広範な地域に出現し、多数の遺跡から出土するため、年代決定の材料として中国・朝鮮・日本で重視されている。体系的な編年は、富岡健蔵、梅原末治、樋口隆康により進められてきた。紐座、主文、乳、周縁などをもとに形式分類が行われた。 紀元前2世紀前半には戦国鏡の特徴を残した蟠螭文鏡があり、紀元前2世紀後半では草葉文鏡が登場する。前1世紀前半に篆書体の銘文が主となり、連弧文を加えた銘帯鏡のほか星雲鏡が登場する。前1世紀後半には方格規矩四神鏡や獣体鏡、爬龍鏡が登場する。 日本では弥生Ⅲ期、Ⅳ期の甕棺から出土する。暦年代を決定する手がかりとして重要となる。

編年

岡村秀典(1984)による編年である。

  • 第1期 - 蟠螭文鏡(Ⅰ式、Ⅱ式)
  • 第2期 - 渦状爬文鏡、草葉文鏡、螭龍鏡、星雲文鏡(Ⅰ式)、蟠螭文鏡(Ⅲ式)
  • 第3期 - 異体字銘帯鏡(Ⅰ期からⅣ期)
  • 第4期 - 異体字銘帯鏡(Ⅴ期、Ⅵ期)、方格規矩四神鏡、獣帯鏡、爬龍文鏡

出土例

  • 前漢鏡 - 唐古・鍵遺跡、奈良県、弥生時代(後期)
  • 前漢鏡 - 立岩堀田遺跡、福岡県飯塚市、弥生時代
    • 連弧文「日有喜」銘鏡(1号鏡)、連弧文「日有喜」銘鏡(4号鏡)
  • 前漢鏡 - 森北町遺跡跡、兵庫県神戸市、
    • 前漢鏡の近畿地方での発見は非常に少ない。

参考文献

  1. 岡村秀典(1984)「前漢鏡の編年と様式」『史林』67巻5号、pp.661-702
  2. 高倉洋彰(1993)「前漢鏡にあらわれた権威の象徴性」国立歴史民俗博物館研究報告(55), pp.3-38
  3. 田中琢・佐原信(2011)『日本考古学事典』三省堂

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