中西遺跡 (御所市) ― 2025年09月13日 00:53
中西遺跡 (御所市)(なかにしいせき)は奈良県御所市にある弥生時代から古墳時代の複合遺跡である。
概要
御所市は奈良県の中部西側に位置する。西の金剛山および南側の巨勢山から北東方向に広がる扇状地上に立地する。中西遺跡は御所市大字室・條・池之内に所在し、西の金剛山および南側の巨勢山から北東方向に広がる扇状地上に立地する。2011年に弥生前期最大の水田跡2000枚が検出された。国内最大の水田跡で、面積は約2万平方メートルである。田の1枚の大きさは3m×4mほどで現在の田圃に比べればはるかに小さい。少ない労働力で、水田に水を張るために必要な平坦面を造成するための工夫とされる。遺構には大畦畔・小畦畔・水路・縞状の高まりがあり、水田は高さ5cmほどの小畦畔で3X4m ほどの方形区画に区切られる。2011年調査地では 850枚が検出されている。弥生時代前期の段階から大規模な水稲農耕が行われていたことが裏付けられた。
調査
第二次調査は平成元年11月7日から同年11月18日まで(実働8日間)で行われた。 現地表面から掘削する擁壁部分のみ発掘調査を実施している。弥生中期の遺構及び遺物包含層を検出した。下層では、弥生前期に相当する土器のほか、楔形石器を検出した。溝2上層の出土遣物は畿内第I様式新段階に相当する。弥生時代中期の台付鉢、小形丸底壷、甕が出土した。甕は口縁部が上外方に広がり、端部は肥厚し内傾する。第21次調査(本村2015)において縄文時代中期前葉の遺物を包含する河道の埋土の一部から、火山灰を含む層が確認された。弥生時代では第14・16・20・25 次調査では、前期の水田面が上下2層で検出され、その検出面積の合計は6,400㎡に及ぶ大規模な水田跡である。中西遺跡・秋津遺跡全体における弥生時代前期の水田遺構の広がりは、50,000㎡以上になるものと推計されている。第12次調査では各地区の谷地形を覆う埋土か らは、弥生時代後期から古墳時代後期頃までの土器が多く出土した。そのほか谷埋土や流入土があり、埴輪片のほか、緑色凝灰岩製石釧・滑石製勾玉、同有孔円盤などの出土がみられた。中西遺跡における水田のうち弥生時代後期の水田が造営された時期や、室宮山古墳が築造された古墳時代中期前葉頃に、この地に集落が営まれていたと見られるが、対応する集落跡は未検出である。
埋没林
中西遺跡で、弥生時代前期(約2400年前)の大洪水で埋まったとみられる水田跡の隣に、埋没した広葉樹林の跡が検出された。埋没林から人間や動物の足跡、狩りに使う矢尻が出土した。足跡は洪水が起きる前の長雨でぬかるんだ場所を人間や動物が歩いたときのものと考えられる。動物はイノシシかシカの可能性が高い。切れ味の悪い石斧を使い、木の繊維を燃やしながら少しずつ切り落とした様子がうかがえる。
遺構
- 住居跡
- 掘立柱建物
- ピット
- 土坑
遺物
- 弥生土器
- 須恵器
- 土師器
- 石器
- 木製品
指定
アクセス
- 名称:中西遺跡
- 所在地:奈良県御所市大字條・室
- 交通:
展示
- 名称:
参考文献
- 御所市教育委員会(1990)「中西遺跡」御所市埋蔵文化財報告書 第9集
- 御所市教育委員会(2017)「中西遺跡」御所市埋蔵文化財報告書 第54集
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