纒向石塚古墳 ― 2023年05月22日 23:29
纒向石塚古墳(まきむくいしづかこふん)は奈良県桜井市にある纒向古墳群のひとつである。
概要
箸墓古墳などの前方後円墳が定型化される以前の古墳とされる。全長96メートルの前方後円墳で、3世紀初頭の築造とする説と、3世紀後半の築造とする説とがある。1971年の発掘調査で周濠から出土した多くの遺物の年代観から、3世紀初頭の築造とされ、最古の古墳として注目されている、
纒向石塚古墳は3世紀初め頃の築造であると奈良県櫻井市教育委員会が公表した。墳丘内から3世紀初めごろの土器が出土し、それより新しい土器は一片も出土しなかったという。後円部は3段あり、前方部には段築なしで馬蹄形の周濠がめぐる。埴輪、葺石はなく出土遺物としては弧紋円盤,朱塗の鶏形木製品 などの木製品 や土師器。築造年代は3世紀初頭~中頃とされる。
年代観
3世紀後半に築造された箸墓古墳よりも、さらに古い時期の前方後円形墳墓が存在するとされる。 纒向石塚古墳、矢塚古墳、勝山古墳、ホケノ山古墳などである。
規模
- 形状 前方後円
- 墳長 93m
- 後円部 径62m
- 前方部 幅30m 長30m
- 外表施設 葺石あり
- 【周濠】あり (幅19~24m、最大38m)。
遺物
- 周濠内から、木製品が出土した。
- 鳥形木製品
- 鋤・
- 有頭棒
- 弧文円板
- 杖状木製品・
- 柱など
- 古式土師器
- 鶏形木製品
年代測定
纏向石塚古墳の第4次発掘調査(1989年)で、周濠内から多量の木材が出土し、うち 1点(勝山古墳出土の板材と酷似)のヒノキの板材の年輪年代は177年+α と判明している。古墳時代の開始年代を考えるうえで最初の重要な年代情報と評価されている(参考文献4)。
木製品の年輪年代
杭、柱、板材、農具、槽、組物、削り屑などの木製品が出土した。板材の年輪年代分析を行ったところヒノキの標準パターンと照合したところ177年となった。平均的な偏在幅は3cmであるため、外側に1cmあったと考えられる。試料の平均年輪幅は0.58cm、最終形勢年輪まで推移すれば18年が加算される。すると195年となる。西暦200年前後に伐採されたとみられる。
アクセス等
- 名称 - 纒向石塚古墳
- 規模 - 全長96メートル、後円部径64メートル、後円部の主丘部の東西59メートル、南北45メートル、前方部の長さ約32メートル、幅約34メートル
- 所在概要 -〒633-0084 奈良県桜井市太田253-1
- 交通 - 西日本旅客鉄道(JR西日本)桜井線巻向駅から700m
- 文化財指定状況 - 国指定史跡
参考文献
- 卑弥呼時代に前方後円墳
- 纏向石塚古墳第9次調査
- 「史跡 纒向遺跡・史跡 纒向古墳群-保存活用計画書」桜井市
- 光谷拓実,みつたにたくみ(2002)「年輪年代から見た古墳時代の始まり」奈良文化財研究所紀要: 奈良文化財研究所紀要 (2002),pp.16-17
- 「纒向遺跡 古代情報の宝庫」読売新聞,2021年1月25日
- 桜井市教育委員会(2012)『纏向石塚古墳 発掘調査報告書 第38集』
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