小玉 ― 2023年12月14日 12:01
小玉(こだま)は古代に首飾りや」腕飾りなどに使われた直径5から6ミリの小粒の丸い玉である。
概要
多くはガラス玉である。弥生時代から古墳時代前期にかけてガラスの色ははほぼ水色に限られていた。古墳時代には小玉だけ、あるいは他の玉とともに連ねて、耳、首、手、足などの飾りとした。縄文時代には石製のものもあった。 弥生時代には、貝製小玉(臼玉)が北部九州、、山陰地方、瀬戸内海の沿岸部で顕著に分布する。3546個のガラス製小玉を出土した二塚山遺跡(佐賀県)がある。ガラス小玉は濃紺色と水色のものに大別できる。形態は臼玉・丸玉・棗玉様の三種がある。
命名
1888年に坪井正五郎が「小玉」と命名し、1991年に高橋健児が「管玉を短くすれば臼玉、臼玉の角を取れば小玉、小玉を大きくして高くすると元の丸玉」として、用語が定着した。高橋は両者の中間もあり、丸玉や臼玉との区別の基準は明確ではない。
流通
ガラスを国内で原料から生産していたものではなく、製品や資材として作られたものが国内に持ち込まれ、加工・流通していたものと考えられている。一部の遺跡から勾玉の鋳型なども見つかっているため、ガラス加工技術を持っていたと考えられる。奈良時代には玉以外にも、朝廷の保護のもとで仏教関連のガラス製品などが作られた。 ガラス小玉の製作法は次の3つがある。
- 管切り法
- 巻き玉の方法で作った管玉を冷えていない状態で引き伸し、細長い管とする。完成した管を細かく輪切りにした後に、熱を加えて断面の角をとっていく方法である。
- 巻き付け法
- 溶解したガラスを棒状の金属を回転させながら巻き取って形を作る方法である。トンボ玉など大きめの玉を作る場合に使われていた。
- 鋳造法
- 鋳型として粘土板や板状の砂岩に、径3~4mmの半球状の窪みを多数配置し、窪みの中央には径1mmほどの細かな穴を穿つ。細かな穴に針金のようなものを立て、周囲の窪みに溶かしたガラスを流し込んだり、ガラスの破片をおいた後に鋳型ごと熱して鋳型に溶かしたガラスを流し込む方法をとっていた。溶解したガラスが固まった後に、先ほどの針金状のものを抜き取ることで、糸を通す穴ができあがる。
用途
古代では男女とも地位のある人物は首飾り、 髪飾り、 腕飾りなどで身体を飾っていた。社会的地位の威儀を示すものだったと考えられる。
出土例
- ガラス小玉鋳型 - 薬師堂東遺跡
- 鋳型が使用された年代は、飛鳥時代であった。鋳型に残存するガラスの成分分析により朝鮮半島産の鉛ガラスが使用されていたことが判明した。
- 権現山51号墳
- 雀居遺跡
- 中原遺跡
- 天塚古墳
- 弘法山古墳
- 牽牛子塚古墳
- 将軍山古墳
- 山王塚古墳
- 豊田狐塚古墳
- 遠見塚古墳
- 姉崎二子塚古墳
- 安満宮山古墳
- 宮山遺跡 (総社市)
- 室宮山古墳
- 王塚古墳
- 西都原古墳群
- 吉島古墳
参考文献
- 木下尚子(1985)「貝製臼玉考」梅花女学院大学地域文化研究所紀要1
- 伊藤雅文(1991)「玉類」『古墳時代の研究 第8巻』古墳2 副葬品、雄山閣出版
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