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飛鳥大仏2023年08月14日 23:08

飛鳥大仏

飛鳥大仏(あすかだいぶつ)は奈良県奈良県高市郡明日香村飛鳥に飛鳥寺の本尊である釈迦如来である。

概要

飛鳥大仏は日本最古の大仏といわれる。飛鳥寺は豊浦寺、葛城寺、建興寺、法師寺、建通寺ともよばれていた。日本書記によれば先に寺を作り始め、606年(推古14年)夏4月8日。銅と刺繍の丈六の仏像を作り終えたとされ、606年(推古14年)に仏像が完成したこととされる。当時は銅15t、黄金30kgを用いて造られたという。しかし飛鳥大仏像の完成は、『元興寺縁起』による609年の完成説が定説となっている(和田萃(2003))。 国の重要文化財に指定されている。

後補と当初

奈良国立文化財研究所は1973年(昭和48年)に坐像の調査を行ない、その結果、当初部分と考えられるのは頭部の額から下、鼻から上の部分と、右手の第2~第4指のみと判断した。 その後、早稲田大学文学学術院の大橋一章教授(文学部)らは、飛鳥大仏の約150カ所に含まれる金属の割合をⅩ線分析によって調査した結果、造立当初の箇所(左鼻梁、右手第二指甲)と鎌倉時代以降に補修したとされる箇所(鼻下、左襟、左膝上)の銅などの金属組成に際立った差異がないことが判明した。ほとんどが飛鳥時代当初のままである可能性が高いと判定された(大橋一章(2013))。 犬塚 将英・早川 泰弘らは2017年に蛍光X線分析を行い、飛鳥大仏の材質調査を行った。キューブライトとテクノライトの比が測定個所により一定でないことが判明した。また当初と後補との明確な関係は見いだされなかった。テクノライトを指標として、当初と後補を判断することは直ちにできないと判断した(犬塚 将英・早川 泰弘他(2017))。 鋳造専門家の調査では銅を複数回注いだ継ぎ目の跡があり、奈良時代以前の技法と推定されている。

飛鳥寺

710年(和銅3)の平城遷都に伴い奈良に新寺を建立して新元興寺と称したが、飛鳥の寺は本元興寺(もとがんごうじ)とよばれ、徐々に荒廃し、現在は安居院に飛鳥大仏を残すのみとなった。飛鳥寺は887年と1196年の落雷で火災にあい、本堂が焼け落ちている。

日本書記(訳)

  • 推古元年春1月15日。法興寺の刹柱の基礎中に仏舎利を置いた。
  • 即位4年冬11月。法興寺の造営が終わり大臣(蘇我馬子)の息子、善徳臣を寺司とした。この日に慧慈・慧聡は初めて法興寺に行った。
  • 推古13年夏4月1日。天皇は皇太子と大臣(蘇我馬子)と諸々の王と諸々の臣に詔して、共に誓願した。銅と刺繍の丈六の仏像を、1体ずつ作ることとした。そこで鞍作鳥(鞍作止利 )に命じて仏像を造らせた。

日本書記(原文)

  • 元年春正月壬寅朔丙辰、以佛舍利置于法興寺刹柱礎中、丁巳建刹柱
  • 四年冬十一月、法興寺造竟、則以大臣男善德臣拜寺司。是日、慧慈・慧聰二僧始住於法興寺。
  • 推古十三年夏四月辛酉朔、天皇、詔皇太子大臣及諸王諸臣、共同發誓願、以始造銅繡丈六佛像各一軀。乃命鞍作鳥、爲造佛之工。是時、高麗国大興王、聞日本国天皇造佛像、貢上黃金三百兩。
  • 十四年夏四月乙酉朔壬辰、銅繡丈六佛像並造竟。是日也、丈六銅像坐於元興寺金堂)。

指定

  • 重要文化財 - 1940年指定

元は国宝

1940年(昭和15)年に旧国宝に指定された。その後、1950年(昭和25年)に文化財保護法が施行され、それまでの国宝は重文に変更された。その上で国宝が選び直されたが、飛鳥大仏は選から漏れていた。理由は、オリジナルの部分は目周辺や右手中央の指の3本だけと考えられていたからであった。しかし前期の通り、かなりの部分がオリジナルであれば、国宝に再指定される可能性もある(産経新聞2018年10月27日記事)。

参考文献

  1. 犬塚 将英・早川 泰弘・皿井 舞・藤岡 穣(2017)「可搬型X線回折分析装置を用いた銅造釈迦如来坐像(飛鳥大仏)の材質調査」保存科学56号、pp.65-75
  2. 大橋一章(2013)「飛鳥大仏の制作と火難」奈良美術研究 / 早稲田大学奈良美術研究所 編 (14), pp.71-76
  3. 和田萃(2003)『飛鳥-歴史と風土を歩く』岩波書店
  4. 日本最古級の仏像「飛鳥大仏」、国宝に返り咲くか」産経新聞,2018年10月27日

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