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松林山古墳2023年11月25日 01:07

松林山古墳(しょうりんざんこふんふん)は静岡県磐田市にある前方後円墳である。

概要

東海地方を代表する前期古墳である。磐田原台地の東南部の縁、御厨古墳群の最大規模の古墳である。御厨古墳群では松林山古墳、稲荷山古墳、秋葉山古墳、高根山古墳、御厨堂山古墳の5基が国の史跡に指定されている。前方部の一部が削平されている。墳丘の外側に周濠が巡る。

調査

昭和6年の発掘調査で、「卑弥呼の鏡」ともいわれる、三角縁神獣鏡、中国製の内行花文鏡などが発掘され、ヤマト王権との密接な関係が示された。内部主体は後円部の地下約3mに天井石の面を置く、割石小口積みの竪穴式石室である。主体部の主軸は、古墳の長軸と直交している。石室の天井石の上に20cmの厚さに粘土がおおっていた。石室の大きさは内法で長さ7.9m、幅は南端で0.05m、北端で1.3m、天井の高さは1.6mである。現在は埋め戻されており見学不可である。未盗掘状態で発掘調査がなされたことによって、多数の副葬品が出土し、前期大型古墳の副葬品の組み合わせが明らかとなった点で重要視されている。

規模

  • 形状 前方後円墳
  • 築成 前方部:2段、後円部:2段
  • 墳長 116m
  • 後円部 径65m 高10.8m
  • 外表施設
    • 円筒埴輪 円筒
    • 葺石 あり(10~20cmの丸礫)
  • 主体部
    • 室・槨 竪穴式石槨

出土品

  • 【鏡】中国:内行花文鏡1・二神二獣鏡1、ボウ製:内行花文鏡1・四獣鏡1。
  • 【玉類】碧玉:勾玉2・管玉50。
  • 【装身具】釧:貝2(水字貝)、その他装身具:巴形銅器、石製腕飾類:碧玉製石釧2。-【石製模造品】琴柱形:碧玉製(全長7.7cm)。
  • 【武器・刀剣類】鉄剣:①2②10、鉄刀:②大刀2・直刀片、鉄鉾:②12。
  • 【武器・鏃】銅鏃:80。【武具】革綴短甲 1。
  • 【農工具】農具:鎌、工具:?・鑿・斧。

指定

  • 2001年(平成13年)3月26日、国の史跡に指定

所在地等

  • 名称: 松林山古墳
  • 年代: 四世紀代
  • 被葬者: 太田川流域に基盤をもっていた首長の墓と考えられる(
  • 所在地:静岡県磐田市新貝
  • 交通: 東海旅客鉄道東海道本線 御厨駅から徒歩7分

参考文献

  1. 大塚初重(2019)『巨大古墳の歩き方』宝島社

多紐細文鏡2023年11月25日 18:29

多紐細文鏡(たちゅうさいもんきょう)は複数の帯状の鈕が中心を外した位置にあり、鏡の背面に鋸歯文様がある銅鏡である。

概要

鏡の裏面に紐を通す鈕が2、3個あり(多鈕)、細い線で鋸歯文などの幾何学紋様を施した銅鏡である。紀元前6世紀頃中国で登場した。 その後、朝鮮半島から蒙古・中国東北地方を中心に数多く発見される。日本では弥生時代の墳墓から出土する。日本ではこれまでに福岡・佐賀・長崎・山口・大阪・奈良・長野の10遺跡11面の出土例のみである。朝鮮半島では29面以上が知られている。

出土

  • 多紐細文鏡 - 奈良県御所市名柄出土、弥生時代、前4~前1世紀、東京国立博物館
    • 銅鐸と多鈕細文鏡がはじめて共伴した例としてきわめて重要である。
  • 多紐細文鏡 - 梶栗浜遺跡出土、山口県下関市、弥生時代(中期)・前2~前1世紀
  • 多紐細文鏡 - 小郡若山遺跡土坑出土、重要文化財、
    • 小郡市埋蔵文化財調査センター蔵、2面出土
  • 多紐細文鏡 -大阪府柏原市大県、東京国立博物館蔵
  • 多紐細文鏡 - 名柄遺跡、奈良県御所市名柄字宮
  • 多紐細文鏡 - 本村籠遺跡、佐賀県佐賀郡大和町、
    • 面径16mと15.3cmの多鈕細文鏡はほぼ完形で鋳上がりも良好である。
  • 多紐細文鏡 - 原の辻遺跡、長崎県壱岐市
  • 多紐細文鏡 - 宇木汲田遺跡、佐賀県唐津市宇木、弥生早期~後期
  • 多紐細文鏡 - 吉武高木遺跡、福岡市西区早良平野、弥生前期末から中期初頭
    • 欠片のみ
  • 多紐細文鏡 - 里田原遺跡出土、長崎県平戸市田平町、平戸市立里田原歴史民俗資料館
    • 三つの鈕をもった完形品であり、径8.9cmの小形の部類に属する。
  • 多紐細文鏡 - 増田遺跡、佐賀県佐賀市鍋島町、弥生中期初頭、県指定重要文化財
    • 甕棺に細片として出土
  • 多紐細文鏡 - 長野県佐久市野沢地区原遺跡

参考文献

合子2023年11月25日 18:45

合子(ごうす/ごうし,combination)は蓋付の小さい容器である。

概要

素材は金属器、漆器、陶磁器などがある。もとは木製容器であるが、古墳時代になると石に写された。「石製合子」は、主に古墳時代前期から中期にかけての古墳に副葬されることが多い蓋付きの容器であり、全国で60点ほどが確認されている。

正倉院

  • 銀平脱合子
  • 黄銅合子
  • 赤銅合子
  • 青斑石鼈合子
  • 金銅花形合子
  • 佐波理合子
  • 刻彫梧桐金銀絵花形合子
  • 金銅大合子
  • 金銅花形合子
  • 檜薬合子
  • 槻薬合子

出土品

  • 石製合子 - 佐紀陵山古墳、奈良県奈良市山陵町、4世紀後半~5世紀前半
  • 石製合子 - 遊塚古墳出土、岐阜県大垣市、古墳時代・4~5世紀
  • 合子形土製品 - 朝日遺跡、愛知県清須市、弥生後期
  • 碧玉製合子 - 富雄丸山古墳、奈良県奈良市、古墳時代・4世紀、京都国立博物館

含綬鳥2023年11月25日 19:58

含綬鳥(がんじゅちょう,imputed bird)は装飾文様のひとつで、嘴で綬帯、瓔珞を咥える鳥の図柄である。

概要

ササン朝ペルシャ由来の図柄で、鳥は高貴な鳥を表すため、権力の象徴とされる。おめでたいことの起こる前兆を告げる瑞鳥とも言われる。鳥は楽園から飛来して幸福を運ぶ、という意味が込められる。 正倉院文様と呼ばれるもののひとつである。日本では花枝をくわえた花喰鳥のデザインとともに奈良時代に流行した。

正倉院

正倉院では以下の宝物に含綬鳥が描かれる。

  • 花鳥背八角鏡
  • 漆金薄絵盤
  • 緑牙撥鏤尺
  • 金銅幡
  • 白地花鳥文錦
  • 白地花鳥浮文錦
  • 黄楊木金銀絵箱
  • 赤地錦垂飾
  • 長斑錦断片

臈纈2023年11月25日 20:23

臈纈(ろうけち、ろうけつ)は染色技法のひとつで布帛に蝋で文様を描き、染液中に浸したあとで蝋を取り除く染め方である。 「蝋纈」、「蝋結」、「﨟纈」とも書く。

概要

飛鳥・奈良時代に中国から伝わったとされ、正倉院に蝋纈が残る。型で蝋を押して文様を表したものが多い。奈良時代以降は、ほとんど使われておらず、大正時代になって復活した。

天平の三纈

「天平の三纈」と言われる染色技法に夾纈(キョウケチ)・纐纈(コウケチ)・﨟纈(ロウケチ)がある。

正倉院

正倉院では以下の宝物に蝋纈が使われる。

  • 臈纈屏風  象木屏風
  • 御袈裟箱袋 第1号
  • 臈纈屏風  鸚烏武屏風
  • 縹臈纈布袋 第13号
  • 赤地鳳凰唐草丸文臈纈絁
  • 白綾几褥 第23号
  • 緑地唐草襷花文臈纈絁
  • 白橡臈纈?袴 第1号

黒柿2023年11月25日 21:54

黒柿(くろがき)は柿の木の芯に黒色物質が沈着してが黒色または黒色の縞模様になったものをいう。

概要

通常、柿の木は製材すると乳白色~淡黄色に近い色味である。稀にが樹の中心部に黒色入るものがある。 「黒柿」は150年以上経った古木から見つかる。1万本に1本という確率でみつかるとされる。伐採後も黒柿に含まれた水分を一定割合までまで抜き(乾燥させ)木材を安定させてから加工する。そのために約5年かかる。柿渋の元の「タンニン」が変色し、白い樹のる柿の木に黒が入ると推定されている。現代でも非常に貴重で高価である。 通常の柿の木は製材した際、橙色から?淡黄色に近い色味であるが、稀に墨色のような黒色が樹の中心部に入ったものがある。黒柿が出る確率は1万本に1本とも言われ、非常に貴重で高価である。黒柿が手に入ってもすぐに加工を行う事ができず、加工前に約10年ぐらい乾燥をさせる。柿材は硬く、密度が高いため加工が難しい材料である。

要因

「化学的、鉱物学的および微生物学的特徴と黒柿における生体鉱物の結晶形成」についての論文により、黒柿の黒い部分には有機物や微生物が多く存在し、生育していた土壌にも有機物や微生物の存在が認められた。黒柿の根の白色部分は球菌などの微生物がCa,P,S,Cl,などを取り込み、生体アパタイト(燐灰石)を形成し、成長するにしたがって、更に元素を取り込みながら黒色化する。そして年月を経ると幹の辺材部に黒色の縞模様(孔雀杢)を作りながら珪化木(植物の化石)を形成することが証明された。

工芸品

正倉院には黒柿を用いた工芸品が多い。工芸品の素材として珍重された。宝物中に黒柿に似せて黒色で模様を付けた「仮黒柿」がある。

正倉院

  • 黒柿把鞘鉋 第22号
  • 黒柿把鞘金銀荘刀子 第31号
  • 黒柿蘇芳染金銀山水絵箱 第32号
  • 黒柿両面厨子
  • 黒柿蘇芳染金絵長花形几 第4号
  • 黒柿金銀絵廿八足几 第13号(第99号櫃)
  • 黒柿把鞘鉋 第22号
  • 十合鞘御刀子
  • 馬鞍 第4号
  • 紫檀木画槽琵琶 第3号

参考文献

  1. 奈良国立博物館(2022)『正倉院展第74回』仏教美術協会
  2. 田崎和江・竹原照明・橋田由美子・橋田省三・中村圭一・横山明彦・青木小波・田崎史江.(2017)「希少銘木「黒柿」の物理化学的特徴と生体鉱物化作用」地球化学71,pp.97-113

蘇芳染2023年11月25日 22:36

蘇芳染(すおうぞめ)は蘇芳の煎汁で染色することである。

概要

蘇芳は主にインド南部・マレ-半島・インドネシアなどに生育しているマメ科の樹木である。 蘇芳は飛鳥時代に中国から渡来し、平安時代には貴族に好まれた貴重な染料であった。平安時代中期に編纂された「延喜式」に天皇が即位の礼でに着用する禁色の黄櫨染や、禁色の深蘇芳、浅蘇芳を染めるためにも使用された。ョウバン媒染で赤色、鉄媒染で黒がかった紫色になる。

正倉院

  • 蘇芳
  • 蘇芳地金銀絵箱 第26号
  • 黒柿蘇芳染金銀山水絵箱 第32号
  • 黒柿蘇芳染金絵長花形几 第4号
  • 蘇芳地六角几 第27号
  • 双龍円文蘇芳綾 第23号
  • 楓蘇芳染螺鈿槽琵琶 第1号
  • 蘇芳地六角几 第27号
  • 花氈 第2号
  • 色氈 第4号

参考文献