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室宮山古墳2023年12月24日 15:20

室宮山古墳(むろみややまこふん)は奈良県御所市室にある古代の前方後円墳である。「室の大墓」と呼ばれる。

概要

奈良県御所市室の平野部に西向きに所在する。墳丘長238mの前方後円墳。奈良盆地西南部地域(葛城地域)において最大の規模である。大王墳に匹敵する規模・内容をもつ。葛城襲津彦の墓ともいわれ、三段築成の巨大な墳丘に葛城氏の勢力がしのばれる。 墳丘は3段築成で、外部施設として葺石、埴輪列の存在が確認されている。円筒・朝顔形Ⅲ式埴輪、形象埴輪靱・楯・短甲(三角板角綴形)・草摺衣蓋、切妻造・四柱造、異形直弧文を線刻する埴輪が出土する。後円部墳頂に南北2つの埋葬施設がある。南側の埋葬施設は竜山石製の長持形石棺を内蔵する竪穴式石室で、激しい盗掘にあっていたが、銅鏡片、滑石製・碧玉製の玉類や滑石製模造品、琴柱形石製品などが出土した。竪穴式石室の天井石の上面に、直弧文を施した朱塗方形の柱の上に、鰹魚木をのせた入母屋造の屋根をのせた大型家形埴輪(高さ121㎝)と高坏(たかつき)形埴輪が樹立されていた。竪穴式石室を方形に取り囲む埴輪列では冑と盾を組み合わせた埴輪、盾形、靫形、草摺形埴輪が表面を外側に向けて配置されていた。 北側の埋葬施設の発掘調査は実施されていないが、竪穴式石室の天井石が露出している。朝鮮半島南部の伽耶地域で生産された船形や高坏形の陶質土器の破片が採集されている。

調査

1950年に後円部の埋葬施設の一部が破壊されたことから、発掘調査が行われた。

墳丘

  • 形状 前方後円墳
  • 築成 前方部:3段、後円部:3段
  • 墳長 238m
  • 後円部 径105m 高25m
  • 前方部 幅110m 長130m 高22m

外表施設

  • 円筒埴輪 円筒・朝顔形Ⅲ式
  • 形象埴輪
    • 靱・
    • 楯・
    • 短甲(三角板角綴形)・
    • 草摺・
    • 衣蓋、
    • 切妻造・
    • 四柱造、
    • 異形直弧文を線刻する埴輪

葺石

  • あり

主体部

  • 室・槨 ①竪穴式石槨②竪穴式石槨?③(伝)粘土槨?④粘土槨
  • 棺 ①長持形石棺②長持形石棺?③木棺(型式不明)④割竹形木棺

遺物

  • 【鏡】中国:①ⅲ神獣鏡10数片③11(型式不明)。
  • 【玉類】硬玉:
    • ①ⅱ硬玉棗玉5、
    • 碧玉:①ⅱ碧玉勾玉2、
    • 滑石:①ⅲ滑石管玉15、
    • メノウ:①ⅱメノウ勾玉3、
    • ①ⅰガラス臼玉7
    • ①ⅲガラス臼玉32
    • ③ガラス小玉 約100。
  • 【石製模造品】
    • 琴柱形:①ⅱ1、ⅲ1、
    • 装身具:①ⅰ滑石製勾玉1、ⅱ滑石製勾玉58、①ⅲ臼玉75、
    • 滑石製勾玉564 ③滑石製勾玉29、
    • 農工具:①ⅲ刀子16、斧1、杵形1 
    • 刀子 1、
    • その他:①ⅲ棒状2、石状2、異形1。
  • 【武器・刀剣類】鉄剣:①ⅱ7、鉄刀刀:①ⅱ1 ⑤破片出土(工事中に)。
  • 【武器・鏃】その他の鉄鏃:⑤型式・数量不明。
  • 【武具】革綴短甲:①ⅱ三角板1(細片で約1領分)、その他:⑤破片出土(工事中に)。-【農工具】農具:①斧1、工具:①ⅱ刀子3。
  • 【土師器】①ⅲ数片。
  • 【その他】①ⅲ銅器片1 ⑤漆塗製品。

築造時期

  • 5世紀初頭(古墳時代中期)頃の築造と推定

指定

  • 1921年(大正10年)3月3日指定 宮山古墳

アクセス等

  • 名称:室宮山古墳
  • 所在地:〒639-2277 奈良県御所市室
  • 交通:近鉄近鉄御所駅→奈良交通バス五條方面行きで6分、バス停:宮戸橋下車、徒歩5分

参考文献

  1. 江上波夫(1993)『日本古代史辞典』大和書房
  2. 小笠原好彦(2019)『奈良の古代遺跡』吉川弘文館

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